洋傑のつぶやき(概況推移考察・それに基づく次週の概況推移展望)

◆株は直近安値更新・円は2018年4月水準を突破。米国債利回りは史上最安値…

 

 今週一週間はリスク回避の驚異的な円買いが進みました。世界的なコロナウィルス感染者拡大による危機感の高まりによって円が急騰し、クロス円は軒並み下落傾向となりました。株価も昼夜で推移がコロコロと変わり、SPXボラリティ指数も今週終盤に高値をつけました(40.13)。株式市場を中心に円と同様のリスク回避が顕著です。

 そんな中でも諸通貨インデックスは比較的高い水準です。利下げから始まった感が強いドル安と加ドルは軟調ですが、その他の通貨(ユーロはドル高によるものもあり、やや例外)は避難通貨・資源国通貨とも上昇しています。新興国は例外ですが…。

 

 株価推移は非常にアップダウンが激しい週間でした。初動は21200円から20700円前後まで下押ししたものの、その後まもなく急伸して21700円まで上昇したと思えば、再び急落して20700円まで下押し、その後はそのレンジ内で「激しい」上下を毎日繰り返したのちに、最終的には先週下値を割り込んで直近最安値を更新しています。行って来いというよりは更に下押しした、という方が正しい感じですね。この株安は下述する債券推移にかなりの影響を受けています。特に後半の株安は米国債利回りの急落に起因している、と洋傑は考えています。

 次週の推移はこの下押しがどこで留まるか、が焦点になってくるでしょう。ひとまず現在の20200円で止まるとはあまり思っていません。恐らくは20000円ないし19000円ラインの攻防となるでしょう。色んな見解があると思いますが、洋傑は現時点においてこのラインを割り込む可能性はかなり低いと考えています。

 

 通貨指数動向は円高・ドル安ばかりに注目が集まりがちですが、諸通貨は比較的上昇傾向と言えます。ドルと相反関係にあるユーロや避難通貨であるスイスフランを除いても、資源国である豪ドル・NZドルも上昇していますので、一定の買い需要もある気配があります。一方で新興国(ランドしか確認していませんが)は軟調です。ランドインデックスは週を通して上下していますが、最終的には下落傾向でクローズしました。クロスランドも一番弱いドルに対してすら弱い状況で、諸通貨の中で最も弱い部類かも知れません。

 資金流動の構図は個人的見解ではありますが、新興国→資源国 / 円・フラン集中 / ドル→ユーロ といった感じです。リスク回避の流れがある一方で、全ての資金が避難通貨に傾いていない点から、今回の株安からの円高は一旦収まる可能性も存在すると見ています。

 円インデックスについても、2018年4月前後につけた0.009580を節目に、一度は下がる可能性が高いと思います。ここを抜けるともう…クロス円は底なし沼になってしまいますので、来週も円インデックスには注目・警戒です。

 

 債券動向が今週も最も注目すべき指標推移だと思っています。特に米国債利回りはFRBの緊急利下げから更に勢いを増して、終盤には驚異の0.674(10年)まで下がっていました。過去最低水準である事は勿論、正に今は未知の領域です。

 この米国債動向に影響を受けて株安が続いた(諸指標推移に限って考えれば)、と洋傑は考えています。加えてドイツ債利回りも驚異の▲0.700越えです。コロナだけではないと思いますが、これに端を発した経済的懸念が債券買いに拍車をかけていると推測されます。

 一方で日本債は然程の買いが進んでいません。ですが、これは債券買いが米国・欧州に流れているから、といった見解も持てる状況であり、あまり信用度は高くないように感じます。この動向から、直近では日本債利回りがあまり諸指標において影響を強めない展開が予想されます。

 いずれにせよ、債券動向は異常買いです。顕在的リスクは上昇し続けており、来週もこの傾向が続くようなら、株価暴落のトリガーになるリスクを孕んでいます

 

 リスク指標は債券動向以上に顕著な上昇度合です。金価格は過去最高を記録した2011年の水準に近付きつつあります。

 潜在的なリスクも、顕在リスクも上昇していると洋傑は考えており、概況は非常に危険性の高い状況であると考えます。一方で、昨日の金価格は不意の急落→復調でいって来いとなりました。この動きがもう一度起きるようなら、相場反転のサインである可能性と期待が出てきます。この辺は引き続き観察を続けます。

 

 南アフリカ債利回りは週を通して行って来いとなっています。週初動から中盤までは下落・後半は上昇です・ランド円推移とほぼ連動した動きと言えます。円が上昇傾向であった事から、更に下向きになっているとも言えますが。

 今後の推移も、これ程毎日激しい上下を繰り返していますので、はっきり言って未知の領域です。但し、直近高値は週始めに付けた同値を含め、過去5年間で最高水準です。概況が落ち着くなら一旦は反落する可能性がやや高いように考えます。

 

 総合的な部分としては、リスクは潜在・顕在部分とも上昇している事が債券や金価格で伺えますが、資金動向は「そうとも言えない」推移になっています(先週同様)。債券の売買動向でも異常な買いが入っている実情からリスク回避の動きは最高潮に達している可能性もありますが、潜在リスクの金が依然として上昇傾向が続いている点から、まだこの傾向が「すぐ」収まるとは、現状の諸指標推移からは見いだせない状況です。

◆概況動向から考える、次週の展望について(ランド円除く概況推移展望)

 

 以上の動向から、次週の書く諸指標推移を以下のように考えます。

◆総合判断:概況は初動リスクオフ→中後半リスク後退の流れへ

◆諸指標根拠:

 ①株価:下値抵抗19000円を割る程の株価暴落は3月時点では「まだ低い」という個人的見解

 ②指数:資源国通貨買いが起きている実情、円の2年来最高値前後での反転下落の可能性

 ③債券:ドイツ債利回りが2019年9月水準で反発している点、米国債利回りの終盤反発

 ※備考:いずれも期待値が大きく加味されている為、信憑性は低い

 

 …となります。やはり現時点では何とも言えません。正直下げ止まる思っていますが、現状の諸指標推移は最終盤で少し反発・反落した程度であり、この動きが次週に繋がる可能性は現時点では高いとは言えません。むしろまだ債券買いが進むと考える方が自然であり、個人的見解と推移の「順張り」見解で悩んでいるところです。

 明日アップの週間ランド円展望は、この諸指標概況推移展望を基に、南アフリカ債利回り推移や検証中指標分析法・エリオット波動の観点から総合的に記載します。