ランド円コラム(金価格は何気に使えるいぶし銀指標)

 今回のコラム記事は、金価格について掘り下げたいと思います。

 金価格は、ランド円のトレードに於いては原則として相関性の低い指標として、あまり注目される事が少ない指標です。多くのページに於いても同様の内容を見かけますが、洋傑個人は使える指標として重宝しています。

 そういった個人的見解要素がこのコラム記事には多くなりますが、あくまで経験則に基づく意見として書きますので、その点は毎度の事ですがご理解の上、ご覧くださいませ。

 

 記事内容は洋傑の今までのランド円トレードや指標推移を見てきた中での経験則が大きなウェイトを占めています。一般的な分析内容や判断方法とは異なる可能性は否めません。

 また、下述内容はテクニカル・オシレータでの内容を含まず、主に諸指標推移に基づいての方法を記載しております。その点を予めご理解の上、本記事をご覧ください。

 

 コラム記事については各ページ下部にリンクを貼っておきます。必要時に都度ご覧いただければ幸いです。

◆南アフリカにとって金は重要な輸出品

 まず、金の生産国として、南アフリカは上位にランクインする国家です。

 その産出量は年々減少しておりますが、かつては産出1位になった時期もあるのだとか。今現在ではトップ10には入っている程度の産出量まで減少しているものの、依然として南アフリカにとっては重要な輸出品と言えます。

 

 下述する内容とは直接つながる話ではありませんが、金価格が上昇することはランド円相場にとってポジティブになり得る点である事は、想像に難しくないと思います。実際のランド円推移はそれほど単純な構図ではないですが、この点はしっかり押さえておく必要があると思います。

◆金価格はリスク指標としての色合いが強い

 金は世界共通の資産価値がある、非常に稀な金融商品(書き方が正しいかわかりませんが)です。

 同時に、様々なリスクに対して耐性が強いため、しばしばリスク回避資産として運用されます。つまり、リスクが上昇した場合は金が買われ、リスクが後退すると売られる、といった格好ですね。

 

 そういった意味では同じ避難通貨として運用される事の多い円インデックスと似たような推移をすることもあります。

 その為、現時点での潜在的なリスクを推し量る上で、金価格は非常に有効です。下述する内容も含めますが、短期的にはドルとの相反関係からのランド円の底上げ・圧力要因に、中長期的には先進国債券より大きく捉えたリスク指標として機能している側面があると考えます。

 

 諸指標の中でも、洋傑がリスク指標と分別している金価格と原油価格、銅価格はいずれも非常に影響が出るのに時間のかかる指標です。おそらく債券利回り推移より先行指標として動くことが多い為、漠然とした「空気」を押さえておく上で重要です。

◆金価格とドルの相反関係

 これは以前のコラム記事に書いた通りです。

 詳しく書くと長くなるので割愛します(かれこれ数十年前の話から始めなければなりませんので…)が、ドルと金価格は上述の通り相反関係にあります。つまり、金価格が上昇すればドルが下落し、逆も然りです。

 勿論、金価格もドルも上昇するケースや、真逆のパターンもありますが、その上昇・下落幅はイコールではありません。その数値の差から、現時点のリスク度合いやドルの相対的な強さを推し量る事も可能です。

 

 例として書くと、仮に…

◆金価格…昨日比+1.50%

◆ドル…昨日比+0.50%

 となった場合、ドルと金の相反関係から考えれば(目安として)ドルは▲1.50%程度になるはずです。ですがこの場合は0.50%プラスとなっており、実質はリスク(金価格)上昇に伴い、ドルも避難通貨として機能している(そういったケースもある)と推測され、相対的にドルは強い事が伺えます。

 

 この推移を利用して、ランド円トレードに活用することができる点が、金価格の利点であると、洋傑は考えます。

◆シンプル分析:金価格⇧はランド円⇧に繋がりやすい

 では、ランド円トレードにどういった使い方ができるでしょうか。

 金価格の活用法は、概ねどの時間でも使えますが、特に南アフリカ債券市場が稼働してない東京時間と、深夜から未明にかけてが有効である指標です。

 

 南アフリカ債券市場が動いている間は、債券利回り推移で大よその展望が掴めるため、主にはそれらが動いていない時間帯のトレードに有効である、という事です。

 東京時間は日経先物データや中国ハンセン指数などが重要指標として使える、といった事を書いているページもたまに見かけますが、株価データは現在進行形の指標であり、「先を読みづらい」デメリットがあります。こういった場合に相場の先行指標となる債券(主に日本債)と併用する事で、金価格の重要性は増します。

 

 東京時間の話をしたので、その時間に絞った説明をします。

 東京時間に稼働している指標はほぼ全てであり、株価・債券・指数・リスク指標とも動いています。先述した現在進行型の指標である株価や指数はすこし除いて、話を進めます。

 

 一番の先行指標は債券(利回り)ですが、これもデメリットとして「先行とならず、後追いになるケースがある」という側面があります。そのデメリットを補完するうえで金価格が有効です。

 通常、東京時間にドルが独自の推移をすることは非常に珍しく、この時間に限って言えば、避難通貨としても機能する事は稀です。つまり、金価格にほぼ相反して推移するという事です。

 

 …ややこしいですね。もう少し簡潔に書くと、

 金が上昇したら、ドルは下がる、という事です。このシンプルな推移がリスクが上昇しているか否かの物差しとなります。債券利回りが下落し、金価格が上昇した場合、明らかにリスクは上昇しており、相場は下がる流れになる可能性が高まるという事になります。

 

 加えて、ここが一番重要ですが、ランド円の東京時間推移は、この金価格に反応する事が多いです。ご存知だと思いますが、東京時間のランド円推移は非常に緩慢となる事が多く、株価や円推移にも然程反応しないケースが多いです。その際の推移は案外この金価格に沿って動くことも多く、「概況が下がっているのに、ランド円は下がらない」といった事も、そういった事情から発生する事があります。

 また、欧州時間以後も、その重要性は抜群に南アフリカ債利回りに流れますが、その動きの担保指標として、依然有効です。

 南ア債利回りのみに視線が行きがちですが、これを見逃すと動きを取り違う事もあるので、しっかりと見ておくべきです。

 

 勿論、金価格以外の指標の影響をランド円は受けます。

 重要なのは、それらの指標と金価格推移を見た上で、上値が強いか・下値が強いかを見定める事にあります。使えば使うほど金価格推移は、トレードに有効な指標となります。是非毎日確認してみてください。

◆金価格の急変動はランド円の相場不安定にも…

 そして、この金価格は上下推移以外にも、その変動値でトレードに有効な点もあります。

 金価格変動(多くは一日ごとに見ればよいと思いますが)は、株価に於けるVIX指数(恐怖指数)に相当する指標です。これはランド円に限った内容かも知れませんが、洋傑個人がVIXを見ないのは、その機能をランド円に於いては金価格が担っているからだと考えているからです。

 

 金価格の上昇度合、又は上下変動差が大きい日(ないし、変動が大きい期間)は、ランド円も相似て変動率が大きくなるケースが多いです。その上下方向はまた別途分析する必要がありますが、いずれにせよ、変動の大きい日・大きい期間は「荒れた相場になりやすい」と考えていたら良いと思います。

 

 今回は金価格について記載しました。

 最後になりますが、金価格単体でランド円相場を掴む事はできません。ただ、相場推移や展望を考える上で、金価格抜きで考える事も非常に危険な程、洋傑は重要指標であると考えています。

 

 金価格推移を日々の参考に分析すると、また違った展望が見えてくると思いますので、ぜひ活用してみてくださいね。

 (*´ω`*)