ランド円コラム(ランド円推移に於ける基本傾向)

 コラム記事、第一弾となります。

 この記事ではランド円推移に関する基本傾向と、トレードに関して有効となるケースがある情報について、大まか且つ端的に記載していきますので、よろしくお付き合いください。

 

 記事内容は洋傑の今までのランド円トレードや指標推移を見てきた中での経験則が大きなウェイトを占めています。一般的な分析内容や判断方法とは異なる可能性は否めません。

 また、下述内容はテクニカル・オシレータでの内容を含まず、主に諸指標推移に基づいての方法を記載しております。その点を予めご理解の上、本記事をご覧ください。

 

 コラム記事については各ページ下部にリンクを貼っておきます。必要時に都度ご覧いただければ幸いです。

◆ランド円は特殊な通貨ペア

 ランド/円の通貨ペアは他の通貨ペアと異なる性質を持っています。

 通常の通貨ペア(ドル円やユーロドルなど)は2つの通貨で行われる売買ですが、ランド円は3つの通貨での売買がなされる、非常に特異な通貨ペアとなります。即ち、

 

 ランド円=ドル円÷ドルランド

 

 となり、ドル・円・ランドの3通貨で構成されている点が、その他と異なる点です。仮に現時点(2019.11.16 週末クローズ後)の数値で記載すれば…

 ◆ドル円…108.750円

 ◆ドルランド…14.7138ドル

 となっていますので、ランド円は…

 ◆108.750÷14.7138=7.391

 となり、ランド円は7.391円となるわけです。

 

 ここで言いたいのは、この計算式ではなく、ドル・円・ランドの3通貨が絡んでいる関係上、非常に複雑な推移をするケースが往々にしてある、という事です。

 

 具体的な話に落とし込むと、仮に株安から円高が発生したとします。通常他の通貨ペア(ドル円やユーロ円など、所謂クロス円)は円高により、軒並み右肩下がりとなります。

 この場合の円高は株安などの危険から避難通貨である円が相対的に買われる頻度が上がる事で円高となりますが(ケースによってまちまちではありますが、ここは一例として…)、リスク上昇時の避難通貨としてドルは機能するケースもあるものの、仮にこの際にドルが弱まった場合、

 ①円…上昇 ②ドル…下落 ③ランド…下落

 となるケースが考えられます。

 

 この場合、上述の通貨ペアで書くと、

 ①ドル円…下落 ②ドルランド…横ばい

 となるケースが発生します。

 

 つまり、ランド円で考えた場合、然程下がらない、といった展開も考えらえる訳です。

 何が言いたいかと言えば、通常他のクロス円が下がる場合でも、状況によってはランド円が下がらない(もしくは時間差で下がる)といった現象も発生しうる、瞬間的に動向を把握するのが難しい通貨ペアであるという事です。

 

 これらを踏まえた上で、ランド円の推移を掴んでいく必要があるという点を押さえる必要があります。

◆ランド円は「テクニカル・オシレータにやや弱く、指標推移に準拠する」通貨ペア

  上述にてランド円はドル建て通貨である関係上、ドル・円・ランドの3通貨が複雑に絡み合った通貨ペアである点を説明していきましたが、よりトレードに近づけた内容でここではお話しします。

 

 Fxを始められた方の多くが「どうやったら稼げるだろう」「できるだけ勝ちたい」などの気持ちで臨まれている事でしょうが、その際にネット検索した際によく出てくる対策(というよりは手法)で、テクニカル(移動平均や一目均衡表・エリオット波動・ボリンジャーバンドなど)やオシレータ(RSIやMACD)などが出てくると思います。

 

 テクニカルやオシレータには様々な内容があり、その分析や対策法も無数にあります。このページをご覧頂いている皆様も様々な手法を導入してトレードしてきたと思われますが、「ランド円であまり勝てない」という方も多いのではないでしょうか。

 筆者である洋傑はそうでした。これは上記の手法を巧く使いこなせていない、という事ももちろんあるでしょうが、もう一方でこういった手法に適していない通貨ペアである、という見方もあると思います。

 

 無論、テクニカルやオシレータに対して綺麗に反応するケースもあります。

 ただ、洋傑が考える分に「相対的・群衆心理を利用したテクニカル・オシレータ」が綺麗に反応するには、ランド円は構成的(ドル・円・ランドのトリプル通貨ペア)にも、また流動性も悪いマイナー通貨である、という事が前提にあると考えています。

 

 色々と書きましたが、洋傑自身、これらの手法は恒常的に使用しています。

 「使えない」のではなく、「(他通貨ペアより)鵜呑みにしずらい」という事です。

 

 では、ランド円に効果的なものは無いのでしょうか。そこで影響が強く作用しやすいのが「諸指標推移」と筆者たる洋傑が書いている幾つかの参考データです。

 下述しますが、諸指標推移は上記の数々の通貨ペア・テクニカル・オシレータより「利用人口が多い(当然と言えば当然ですが)」事により、より様々な影響を強く受けるランド円にとって、方向性を示す一種の羅針盤となり得るものであると考えます。

 

 また、政治ニュース等によってランド円が他指標より大きく振れる事が多いのは、これら諸指標推移が激変することによって振れる、というプロセスを踏まえることが多いから、と個人的には考えています。

 

 これら諸指標推移は、それぞれが全く違う方向を示しつつも、ランド円には一定方向を示すことが多いだけに、影響させやすい、方向性準拠の参考データであると考えています。

 

◆まずはランド円推移に重要な指標を押さえましょう

 では、その諸指標と書いている物には、どういった種類が存在するのでしょうか。

 まず、大きく分けて5つに大別できると思います。

①株価(主に24時間稼働の先物データ)

②指数(各通貨インデックス)

③債券利回り(主に10年物)

④リスク指標(金価格・原油価格・銅価格など)

⑤クロス指標(クロス円・クロスドル・クロスランドなど)

 

 それぞれの説明を簡潔に書くと

①株価

 文字通り、各株価平均のデータ。有名なところでは日経平均やダウなど。

 多くの通貨ペアがこれに影響を受けて動くケースが多い為、参考指標の中でも即応性の高い指標ですが、反面現在進行形のデータでもあり、こればかり見ていると振り回される事も多いので注意が必要。

②指数

 各通貨の強さを示す指標。有名なところでは円インデックスやドルインデックスなど。

 上述の通り、ランド円はドルや円の影響を強く受ける為、その動向によって大きく動くことも多いですが、これもまた株価同様に現在進行形になりやすいので、注視し過ぎると振り回されやすい傾向にあります。

③債券利回り

 リスク回避として買われやすい債券の売買を示す指標。有名なところでは日本債や米国債など。

 株価や指数より先行指標としての性格が強く、すぐに影響が出るというよりは、やや遅れて結果が反映される事が多く、トレードの役立ちとしてはウェイトが大きい反面、他指標に引き寄せられて”逆に後追い指標”となる事もある為、真逆の結果になる事もある点には注意が必要です。

④リスク指標

 債券利回りも含めリスク指標と言えますが、ここでは分別します。有名なところでは金価格や原油価格など。

 債券利回り同様に先行指標としての要素が強く、トレードに有効な部分が多いですが、デメリットとしては影響度合が弱く、「そうなるかもしれない」程度の予測になるケースがあります。

 また、金価格に関してはドルとの相反関係上、リアルタイムに有効な部分もあります。

⑤クロス指標

 各通貨ごとの、各通貨ペアとの強さを示す指標です。有名なところではクロス円やクロスドルなど。

 指数とは異なり、各通貨ごとに強さを判別できる点に於いて「相対的な強さより、各個別の相関関係を計る」指標として有効な反面、トレードへの影響は限定的です。

 

 では、より掘り下げて、ランド円トレードに有効なものを記載ておきます。詳細は省きますが、下記指標を押さえるとランド円トレードの勝率は上がりやすいと考えます。

◆株価

①日経先物(終日通して有効)

②ダウ先物(米国時間に有効)

③ハンセン指数(10:30~12:00に有効なケースが多い)

◆指数

①円インデックス(終日有効)

②ドルインデックス(米国時間に有効)

◆債券利回り

①日本10年(終日有効)

②米国10年(終日有効・日本より影響度低)

◆リスク指標

①金価格(ドル相反関係で終日有効)

 

 これら上記5指標と分けて、南アフリカ債利回りがあります。

 主に使用するのは2年ものと10年ものですが、この指標が最もランド円トレードに効果的です。

 

 通常、債券利回りは下がるとリスクオフ志向、上がるとリスクオン志向と言えますが、新興国である南アフリカの債券は全く異なる観点から売買されます。即ち高利回りであるが故の投機です。

 このような点から、南アフリカ債利回りは下がるとリスクオン志向、上がるとリスクオフ志向である指標です。また、10年ものに限定すれば、「ちょっと先」の先行指標となるケースが多く、トレード上の判断には非常に有効です。

 デメリットは、時と場合による部分が多いながらも、全く作用しないケースがある点です。これはランド円と南ア債利回り推移を一定見定めた上での判断が問われるので、少し熟練する必要があります。

 

◆時間帯によって見るべき重要度が変わりやすい

 有効な指標を記載しましたが、いずれの指標も24時間使える指標とは言えず、またずっと稼働していないので、時間帯に分けて指標を見ていくのが効果的です。

 ここでの内容はランド円に限っての事ですが、時間帯別に記載します。また、個人的見解を強く含みますが、その時間ごとの重要度合いで順記していきます。

 

◆オープン時間~東京市場開場まで

 ①日経先物

 ②円インデックス

 ③金価格

◆東京時間序盤(9:00~10:30) 

 ①日本債利回り

 ②日経先物

 ③金価格

 ④円インデックス

◆東京時間中盤以降(10:30~14:00)

 ①日本債利回り

 ②中国ハンセン指数

 ③金価格

 ④円インデックス

◆欧州時間前~米国時間(14:00~22:30or23:30)

 Ⓢ南アフリカ債利回り(10年)

 ①日本債利回り

 ②金価格

 ③ドル+円インデックス

◆米国時間序盤~中盤(~25:00)

 Ⓢ南アフリカ債利回り(10年)

 ①ダウ先物

 ②金価格

 ③ドルインデックス

 ④日本債利回り

◆米国時間後半(25:00~クローズ)

 ①ダウ先物

 ②円インデックス

 ③金価格+ドルインデックス

 

 記載していませんが、クローズ時~オープン時は値洗いの時間なので、基本的にトレードはお勧めしません。

 また、これはランド円に限った内容かもしれませんが、それまでの推移が各時間ごとに一変する事も多いので、ランド円トレードは(デイトレードやスキャルピング時に)時間ごとに切り分けて行うのが良いかも知れません。

 

 最後に、テクニカルやオシレータの有効性については、いろんな方が様々に書いているので、洋傑が語るまでもなく、重要なものです。それにこれら諸指標推移を付け加えて考える事で、更にトレードの精度は増すと考えます。

 この記事が皆様のお役に立てば幸いです。