2019年6月1週ランド円予測

 次週は先週末の「株価下落・債券利回り下落・ドル高+円高+諸通貨安」地合いからのスタートとなります。

 米中貿易摩擦は依然として進展がなく、今まで支えていた株価が崩れ始めています。洋傑は経済の仕組みなどの詳しい事は分かりかねますが、体感的にそういった印象を受けます。

 

 先週の大きな値崩れ(金曜日)はメキシコに対する米国の関税絡み発言に端を発していますが、大きく捉えれば米中貿易摩擦に関連した項目であると考えます。よって、株価が急落したのもこういったネガティブニュースによる経済への悪影響から「買い支えられない」地合いが形成されているといった見方を洋傑はしています。

 

 よって、今週も株価は軟調になる展開を考えますが、なにぶん地合いが非常に不安定です。概況が好転している雰囲気は全くありませんが、あまりにも急落したので、反動の買いも入る局面はあると思われます。そういった意味でスキャルピングには重々気を付ける必要があると思われます。

 

 加えて、中国側のレアアース輸出制限への懸念が顕在化しつつあります。この点は株価を始めとする諸指標に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 その一方で、「買い飢え」状態が長く続いている状況でもありますので、些細なポジティブニュースが流れても買いが強まる展開は十分予測できます。

 

 蔓延している「売り」優勢と渇望されている「買い」需要が介在する現状は、為替相場としては非常に不安定な状況である点を念頭に、次週はトレードに臨む必要があると考えます。

 

 では、分析に入りたいと思います。

 

 

週間分析レポート及び先週動向をまとめた反省会は以下のリンクから。是非一度ご覧ください。

(各指標動向グラフは週間分析レポートに移していますので、お手数ですがそちらからご覧ください)

 


①各指標考察と動向見込み

 

 週末までの各指標動向は反省会にて記載していますが、今一度ここにも書いておきます。

 

 今週の特徴としては、

①概況:初動は上昇も米中関連報道で下げる展開が継続。終盤はトランプ砲で急落

②株価:じり安→膠着→急落の展開。米中報道によって下値強し。最終は急落

③先進国債券:債券買いが強く、利回り下落で終始

④南ア債券:概ね上昇で推移。2年債のみほぼ横ばい推移

⑤通貨指数:ドル高・円高が顕著。終盤はドル急落の局面も

⑥リスク指標:原油価格が急落・金価格が急上昇。はっきりした影響は不鮮明も今後の影響大

⑦ランド円と南ア債券(10年)の相関:債券上昇に対しランド円も下落。相関性は中立。

 …といったところではないでしょうか。

 

 概況・南アフリカ国内状況とも完全に悪い側面が顕在化しており、クロス円では概ね下落傾向です。

 諸指標で見ても、殆どの指標に於いてはリスク回避の動きが活発です。率直に見た傾向で言えば今後当面は「下落傾向」であると言えると思います。

  

 一方で、通貨インデックスに於いては週末のトランプ砲にも関わらず、最終的にはオセアニア通貨などは上昇して終わっています。クロス円では軟調が継続していますが、これも先週同様に円高が急速に進んだことによる動きと見れば、今後の上昇の余地は残っているという見方もできます。

 

 毎度のことではありますが、指標判断において「すべてが同一方向(傾向)である場合、逆にトレンド転換を疑うべき」であると、洋傑は考えています。

 現在の地合いは、まだそういった意味では統一されていません。個人的見解が強いながらも現在の段階に於いて、動きが大きく変わるようには感じません。

 

 体感的な見解を書きましたが、具体的に今後の動向を根拠付けて説明していきたいと思います。

 

 まずは現在の状況を大きく作った指標である日経先物(株価)データを見てみます。

 下記は今年3月からの傾向グラフです(週間分析データ内容を一部加工)。

 

 

 

 

 上記グラフは終値での推移を記載しています。

 今後のランド円の動向を探る上で外せない指標が株価です。洋傑は日経先物データを基軸に株価動向を見ていますので、今回のサンプル指標に使いました。

 分析の上では地合いではなく、テクニカル分析で話を進めます。

 ご覧の通り、終値グラフでみた場合、今回の急落劇によって中短期下落トレンドすら下抜けてしまいました。こうなってくると日経先物は20000円割れ(18000円~20000円)が現実のものとなってきます。

 

 中短期的に見れば下落傾向になる可能性が高いと考えますが、すんなり下落するか否かは微妙なところです。その点を考察する分には他指標をみる必要がありそうです。

 

 株価動向を若干先行しているように考えている日本10年債利回りを参考指標として挙げてみます。

 株価同様に直近3カ月のデータです。

 

 

 

 

 日本債利回りもやはり短期下落トレンドを下抜けていました。動向も株価より2日程早かった感じです。

 やはり直近データでは日本債が動向把握に長けた指標であると言えます。

 

 日本債利回りは円インデックスに直結する傾向が強いので、株価同様に今後しばらくはクロス円にとって下値が強まる可能性が高いと言えます。

 

 ただ、ランド円は株価と必ずしも直結しません。これはランド円がドル建て(ランド円=ドル円÷ドルランド)で構成されているからですが、その上でもドルインデックスとランドインデックス傾向を掴んでいく必要があります。

 この両指標を見ていきましょう。

 

 まずはドルインデックスから見ていきましょう。

 

 

 

 

 ドルインデックスは株価や債券とは異なり、まだその傾向がはっきりしません。丁度中期上昇トレンドの下値ギリギリで推移しており、まだ下抜けるか反転上昇するかは微妙なところです。

 直近のドルインデックスの上昇が緩やかななのは、恐らく中長期トレンドに上値を抑制されているからだと思われますが、今後はこの両トレンドに挟まれて「膠着する」展開もあり得ます。

 

 文章で書くと見えづらいので、今後のドルインデックスの傾向パターンを記載します。

①上昇して中長期トレンドも上抜け。急上昇展開。

②上昇しつつも中長期トレンド上限を超えない推移で上値も限定的。じり高展開。

③下抜けて中長期トレンド下限まで下落する。

 

 可能性はいずれも一定存在すると思いますが、ここは週間予測として終値見込みに大きく影響を及ぼす為、見込みを付ける必要があります。

 

 現状推移の場合、最も可能性が低いのは①ですが、洋傑はその展開を予測しています。

 米国自体の経済状況は芳しいとは言えないものの、他国と比べればまだ安心できる程度のものであり、また、避難通貨としての機能も今現在はあると洋傑は勘がています。故に、ドルインデックスは地合いがリスクオン・オフに関わらず上昇すると見込んでいます。

 

 しかし、あくまで見込みです。現在値を下回り、明確に97.500を割り込めばドル下落は進むと思うので、先述を見直すつもりです。

 

 さあ、あとはランドインデックスです。

 本来、ランドインデックスはベンチマークが南ア10年債利回りですが、直近データは比較的参考にならないものが多いように感じます。勿論現状の動きを計る上では必須指標ですが、中期以上の傾向を探る上では、超長期債が最も今近い動きになっていると思いますので、添付します。

 

 

 

 

 長長期債利回りは今上昇傾向に入っていると考えられます。

 金曜日は一時的に下落していますが、今後の傾向は上昇する可能性が高いと推測します。

 

 これらを総合的に考えた場合、ドル高・円高・ランド安で、ランド円は大きく値を下げる展開が、現時点では最も高いと考えています。

 


②経済指標とイベントによる影響など

 

 今週の経済指標でランド円の流れを大きく変える指標は…

①月曜日10:45…中国Caixin製造業PMI

②月曜日16:55…独製造業PMI

③月曜日18:00…南ア製造業PMI

④月曜日23:00…米ISM製造業景況指数

⑤火曜日13:30…豪州政策金利発表

⑥火曜日18:30…南アGDP

⑦火曜日22:45…FRBパウエル議長発言

⑧水曜日21:15…米ADP非農業部門雇用者増減

⑨木曜日18:00…南ア経常収支

⑩木曜日21:30…欧州中央銀行記者会見

⑪金曜日21:30…米雇用統計

 

 …といったところでしょうか。

 

 また、イベント関連では…

①メキシコ関税問題

②米中貿易摩擦関連

 

 

 今週は重要指標とイベント、両方とも影響を及ぼしそうな流れです。経済指標は不安要素が大きい指標が多いですが、ピンポイントで良い結果が出れば上昇に繋がる流れを作れる展開もあり得ます。

 

 しかし、今週も米中・米墨貿易摩擦、さらにインドとも発生しそうな不穏な概況が円高を招きそうな雰囲気がまん延しています。当面は軟調推移になる、というのが単純に見た場合の展開として可能性が最も高いと考えます。

 

 また、今週は重要指標が月曜日に固まっています。先週末からの不穏な流れを引き継いでの展開になれば、ここでの悪い結果が大きな下落を生む要因になり得ます。この点は要警戒です。

 

 


◆週間予測及び総評

 

◆週間ランド円予測(動意範囲)

6.70円ー7.60円

◆週間ランド円終値予測

7.25円ー7.35円

 

 

 現状の指標判断・イベントなどによる影響を加味した場合、不安定要素が非常に強く、下値優勢に動きながらもアップダウンの大きな流れになる可能性が最も高いと考える。

 また、下値優勢な展開で推移するとは思われるが、急激なフラッシュ・クラッシュが発生した場合、展開は早まり、上昇する契機になる展開も考えられる。

 

※予測は洋傑個人的見解に基づくものです。参考程度にご活用ください。

 

 

 

 当初、洋傑の終値見込みはもう少し上値で考えていましたが、分析指標を鑑みた場合、下値が強まる可能性が非常に高いと考え、下方修正した結果になります。

 

 正直「これ以上は下がらないだろう」と考えている自分がいる時は、逆になる展開が多かった事も修正した理由の一つですが、各指標を見る分にもこの点は理に適っているといえると考えています。

 

 ですが、同時に不安定な地合いが急変を呼ぶ可能性が高いため、長期保有は高いリスクが付きまといます。この点は重々ご留意願います。

 先週同様に非常に不安定な動きに終始する展開が見込まれるだけに警戒は最大限お願いします。

 

 今週もTwitterのリアルタイム情報を活用して、できるだけ情報発信していきたいと思っていますので、Twitter・ブログともご覧いただければ幸いです。

 

 来週が皆様にとって良いトレードになりますように。

 

 さあ、新しいトレードが始まります!

 (*'ω'*)ノシ