2019年6月2週ランド円予測

 次週は先週末の「株価上昇・債券利回り下落・ドル安+円膠着+諸通貨高」地合いからのスタートとなります。

 週末クローズ後に出たメキシコ関税無期限延期報道によって、週明けはクロス円を中心に上窓スタートか、といった状況ではあります。久しぶりのポジティブ材料と言えます。

 

 しかし、その初動には警戒を配る必要があると推測しています。

 具体的には諸通貨(先進国通貨・資源国通貨・ペソ)高は生じると思いますが、円インデックスは下がるかどうかが非常に重要になってきそうです。

 

 また、ポジティブ材料が出たことで=ランド円上昇 とはならない可能性もあります。

 

 そして、株価と債券動向が真逆である点等、来週の相場は先週・今週以上の壮絶相場になるのではないかというのが、現段階の洋傑の見解です。

 

 理由などは後述しますが、諸指標がバラバラな状態である以上、不安定な地合いであることは間違いなく、上述の2指標による綱引きが今週で決着するかどうかも相場の見どころとなるのではないでしょうか。

 

 いずれにせよ、来週のクロス円は波瀾の一週間になると考えていますので、毎度恒例となりますがトレードには細心の警戒で臨む必要があると考えますので、くれぐれもご留意願います。

 

 では、分析に入りたいと思います。

 

 

週間分析レポート及び先週動向をまとめた反省会は以下のリンクから。是非一度ご覧ください。

(各指標動向グラフは週間分析レポートに移していますので、お手数ですがそちらからご覧ください)

 


①各指標考察と動向見込み

 

 週末までの各指標動向は反省会にて記載していますが、今一度ここにも書いておきます。

 

 今週の特徴としては、

①概況:初動は上昇も関税報道(中国・メキシコ)で下値強し。GDP結果で南ア相場は急落も諸通貨は上昇

②株価:週を通して上昇一辺倒で推移

③先進国債券:債券買いが強く、利回り下落で終始

④南ア債券:長長期債上昇・短期債下落の構図に

⑤通貨指数:ドル安・円膠着・諸通貨高の流れ。円は横ばいも上値強し

⑥リスク指標:原油価格反転・金価格急騰の流れに。金価格上昇幅はドル安とほぼ比例関係

⑦ランド円と南ア債券(10年)の相関:債券膠着に対しランド円は下落。相関性は弱い。

 …といったところではないでしょうか。

 

 クロス円は上昇傾向で終始した格好です。これは株価に後押しされた事による動意であると言えますが、諸通貨が上昇する傍ら、円インデックスも殆ど下がることなく推移しています。

 このことからもリスクは依然意識された状況ながら、株価上昇を材料に僅かな買い場を買い進んだような印象を受けます。

 

 また、上述の通り諸指標がバラバラの動意になっている点も気がかりです。株価は週を通して上昇一辺倒でしたが、真逆の展開として債券利回り(先進国)は下落一辺倒でした。

 つまり、株価上昇というリスク選好ムードと、債券買いというリスク回避ムードが併存していた事になります。

 

 実際に為替相場に現れたのは前者の方であり、後者は顕在化していないように見えますが、実は通貨インデックスに於いて、この傾向が顕著に表れていた、という事です。

 

 要するに、次週のクロス円を語る上で最も重要な点は「円インデックスがどうなるか」という事でしょう。

 今回の週間予測はこの点を中心に見ていきたいと思います。

 

 まずは現在の状況を大きく作った指標である日経先物(株価)データを見てみます。

 下記は今年3月からの傾向グラフです(週間分析データ内容を一部加工)。

 

 

 

 

 上記グラフは終値での推移を記載しています。

 今週は短期下落トレンドを上抜け、もしくはその上限に達している部分でクローズとなっています。終値推移でみれば上抜けていますが、時間足に落としてみると、まだ反転ポイントに留まっている状況です。

 

 あと僅かにでも上抜ければ、上昇を妨げる障害もなく22000円付近まで上昇する事が予測されますが、その点は次週の初動で勝負が決まると考えています。

 上抜けポイントとしては21100円程度でしょう。

 

 概況を加味すると上抜けする可能性が最も高いと言えます。メキシコへの関税発動の無期限延期を発表した為です。

 しかし、ここで再び追加関税措置の可能性をちらつかせた発言が飛んでいます。正直、始まってみないとこの動きがどうなるか、非常に難しいところであると思いますが、その点の判断基準として、やはり日本債利回りと円インデックスは欠かせません。

 

 現在、日本債利回りは急落、円インデックスは横ばいで推移しています。

 ここまでの株価上昇は短期下落ライン内で展開されていましたが、ここを上抜けするとなれば、上述の2指標も大きく動かざるを得なくなります。即ち円安と日本債利回り上昇です。

 

 その動きがどうなるかはデータを見て判断するとしましょう。

 日本10年債利回りと円インデックスを参考指標として挙げてみます。

 株価同様に直近3カ月のデータです。

 

 

 

 

 円インデックスも短期上昇ラインの下限に位置しています。この点は日経先物データと相関関係が成り立ちます。

 同時に、現状での判断が難しいとも言えます。

 

 となると、判断のポイントは日本債利回りに預ける事になりますが、こちらも短期急落ラインの上限に差し掛かっているものの、中期下落ラインを更に下回っています。

 確証度合いはそこそこですが、現段階でのチャート分析上は株価がこのまま上抜ける可能性は「やや低い」と推測します。

 

 しかしながら、上述の通り確証度合いが低い状況です。

 ここは先週メキシコ関税報道によって値を下げたドルの動きも添付したいと思います。併せて、ドルと相反関係にある傾向が強い金価格も載せておきます。

 

 

 

 

 

 ドルインデックスは短期上昇ラインを下抜けて推移しました。

 現在は中期上昇ラインの下限に向かって進んでいる可能性が高く、多少の上下を繰り返しながらも下落していく可能性が高いと考えます。

 

 その裏付けとして、金価格の急上昇があります。先週に引き続きこの流れは継続しました。来週以降もこの急上昇が続くかは不透明ながらも、当面は高値で推移することが考えられ、これはドルの下落を前提にした金買いであると推測しています。

 

 そろそろ一旦の下落に入りそうな気もしますが、とりあえずドル売りは今後も優勢であると見るのが妥当だと考えます。

 つまり、メキシコ報道によるドルインデックスの上昇は非常に限定される≒メキシコ報道による円売りは限定されるとも言えると思います。

 

 さあ、あとはランドインデックス…と行きたいところですが、今週は円・ドル・ランドの動向と併せて押さえておきたい部分があります。それは資金動向です。

 確かに今回のメキシコ報道でペソは上昇する事が確実だと思いますが、それが円売りには繋がらない、と洋傑は推測しました。ですが、それがランドに波及するかはランドインデックスのみならず、ランドも含めた資金動向を把握する事が次週の相場に於いて重要であると考えています。

 

 その動きを探る上で、一つのカギになるのが原油価格であると考えています。

 下記グラフは他指標と異なり、4月末からのデータとなります。

 

 

 

 

 原油価格は、その産出国通貨にとっては非常に大きな要素の一つです。ここのところ下落が続いていましたが、ここにきて短期下落ラインを上抜けました。こうなってくると暫くは底打ち→上昇となりそうです。

 通貨として原油価格に影響を受けやすい産出国としてはカナダ・中国・ブラジル・メキシコ辺りでしょうか。オーストラリアも産出しますが、その量は僅かです。

 

 その考察から見ると上述の国の通貨は強含みとなる可能性が高いです。メキシコ報道で上昇する可能性の高いペソはここでも恩恵がありそうな気配ですね。

 

 そうなってきた場合、資金動向としては下記通貨が初動として強まるのではないでしょうか。

①欧州通貨(ユーロ・フラン・ポンド)

 →ドルからの資金流出の受け皿上昇。リスク内包状況でも上昇しやすい

②資源国通貨(加ドル・豪ドル・NZドル)

 →加ドルは上述の原油高で、オセアニア通貨は利下げ後の反動上昇で強含みの可能性あり

③新興国通貨(ペソ)

 →上述理由で急上昇か

 

 …そうなった場合、現在のランドは非常に資金が集まらない(流出する)可能性が高いです。

 グラフはありませんが、現在までのペソ/ランドでも先週はペソ高でした。つまり、このような状況下のメキシコペソにも負けるほど、今のランドは弱い状況と言えます。

 これにペソ急上昇となった場合、新興国の資金はペソに集中する可能性が高く、下手をすれば全く資金が集まらずに下落、なんて展開もあり得ます。

 

 また、指標判断とは異なりますが、現在のランド円買玉の急上昇も懸念材料です。

 詳細については大王さんのホームページ(下記)に掲載されていますのでご確認頂きたいですが、短期間に買玉急増・売玉減の状況になっています。その状況で僅かなランド円状況で留まっている点も非常に心配されます。

 

 最後に南アフリカ債利回り(長長期・中長期)を掲載します。

 いつもの如く、中長期債は10年・5年の数値を2年近似値まで下げています。

 

 

 

 

 

 こちらも面白い結果が出ています。

 まずは超長期債(20年)の中短期上昇ラインの上抜けです。まだ正確な上抜けかどうかは微妙なところですが、上抜けすると更なるランド円下落が現実味を帯びてきます。現在の動向は10年よりも20年が精度が高いため、このままいけばランド円は下落幅が広がる可能性があります。

 

 また、長長期・長期債と中期・短期債利回りが二極化しているのも特徴です。

 忘れがちですが、南アフリカ債は先進国債とは異なり、下落=リスクオンですので、この状況は先進国債券利回りで言うところの「逆イールド(短期債利回りが長期債利回りを超える)」に近い状態であると言えます。

 これはGDP発表にも裏付けられるように、南アフリカがリセッション入りする展開を示唆しているとも言え、市場がその前提で動き始めている事を示すものと洋傑は考えます。

 

 日ごとに言えば当然のことですが、最終日もランド円上昇につき、2年債利回りは下落しました。しかし10年債利回りは上昇して終わり、その差はますます広がっています。

 

 現時点でも大きな下落材料ですが、明日以降も広がるようなら、非常にまずい状況に突き進む事も考えられます。

 


②経済指標とイベントによる影響など

 

 今週の経済指標でランド円の流れを大きく変える指標は…

①月曜日 8:50…日本GDP

②月曜日11:00…中貿易収支

③月曜日17:30…英GDP

④火曜日20:00…南ア製造業生産

⑤火曜日21:30…米PPI

⑥水曜日18:00…ECBドラギ総裁発言

⑦水曜日20:00…南ア小売売上高

⑧水曜日21:30…米コアCPI

⑨木曜日10:30…豪雇用統計

⑩木曜日18:30…南ア鉱業製造+金生産

⑪金曜日11:00…中鉱工業生産

⑫金曜日21:30…米小売売上高

 

 …といったところでしょうか。

 

 また、イベント関連では…

①メキシコ関税問題

②米中貿易摩擦関連

 

 今週は経済指標の重要度はやや低いのではないでしょうか。中国指標と自国指標はある程度の影響を及ぼすと思いますが、余程の結果でない限り、上値は限定的であると考えます。

 

 政治ニュースは引き続き米中関連ですかね。現在はG20での会談への期待も出てきていますが、おそらく一度二度のけん制発言は出ると思いますので、相場急変には警戒です。

  


◆週間予測及び総評

 

◆週間ランド円予測(動意範囲)

6.85円ー7.45円

◆週間ランド円終値予測

7.10円ー7.20円

 

 現状の指標判断はいずれも反転ライン前後の局面に接しており、今後の動向を把握することは非常に難しいながらも、リスク内包の状況での株価上昇、諸通貨高の中での円高値維持などからこれ以上の上昇は無い、との判断をする。

 また、南ア債は長期と短期の利回りが乖離幅を広げている点や、国内状況の悪さなどを加味した場合、現状の中期下落ラインを上抜ける展開は無いと考える。

 

※予測は洋傑個人的見解に基づくものです。参考程度にご活用ください。

 

 

 

 今回の洋傑の見込みですが、洋傑自身が「いやいや、メキシコ報道あったし、もっと高値でしょうよ」と突っ込んでいます(笑)。

 

 現在の最新状況から言えば、もっと高値推移も可能性として高く、また、株価も上抜ける展開が最もあり得ます。しかし、現状の諸指標動向と資金動向を考えると、結論としては下落という結果に行き着きます。

 また、南ア債動向が非常に不穏です。かつてない動きになっている点は、本当の本当に最大限警戒する必要があると思います。

 

 現在のランド円界隈は上昇意見が非常に多いです。洋傑もそう思いますが、それだけに下落する展開を想像してしまいます。

 相場は往々にして少数意見の結果に帰結する事が多いので。

 

 今回の洋傑見込みはかなり尖った見解である事は事前にご了承ください。

 

 また、不安定な地合いが急変を呼ぶ可能性が高いため、長期保有は高いリスクが付きまといます。この点は重々ご留意願います。

 先週同様に非常に不安定な動きに終始する展開が見込まれるだけに警戒は最大限お願いします。

 

 今週もTwitterのリアルタイム情報を活用して、できるだけ情報発信していきたいと思っていますので、Twitter・ブログともご覧いただければ幸いです。

 

 来週が皆様にとって良いトレードになりますように。

 

 さあ、新しいトレードが始まります!

 (*'ω'*)ノシ