2019年6月3週ランド円予測

 次週は先週末の「株価膠着・債券利回り下落・ドル高+円安+諸通貨安」地合いからのスタートとなります。

 週末クローズ後に出た香港条例改正見送りがポジティブ材料、対中関税第三弾荷物到着で予定通り関税導入がネガティブ材料と、中国ネタで好悪揃った状況での週明けとなります。

 

 しかも、南アフリカは月曜日は祝日で株式市場・債券市場が開かない関係上、概況に振られる傾向となる事も注意が必要になります。加えて、概況が動きが無い場合、月曜日は動きが出ずらいかも知れません。

 

 各指標もやや不穏な動きです。

 金価格が異常な上昇を初めて2週間程度になり、為替に影響を及ぼすとすれば来週のタイミングになる可能性は高いです。

 また、長い間続いている債券利回りの低水準も、怪しい限りです。

 

 そんな中、株価は膠着してクロス円は下落するという、じり安な状況である点は警戒する必要があるポイントであると考えます。

 

 そして、先週の傾向として「円安・諸通貨安」であった点です。クロス円は上述の通り下落した通貨ペアが多かった訳ですが、円高になった訳ではなく、各通貨が下がった事が要因です。つまり、円の下げ幅より自国通貨の下げ幅が大きかった事に他なりません。

 各通貨とも債券利回り下落による要因ですが、円に関しては僅かに下がったのみに留まり、まだ円インデックスも上昇トレンド内にいます。もし円が反転上昇した場合、諸通貨安も相まって急落する恐れもあり、この点は警戒する必要があると思います。

 

 逆に、概況は徐々になりとも良くなっているのか、ニュースも良い内容が入るようになりつつあります。未だに円高傾向は根強いものがありますが、債券利回りが上向いて・諸通貨インデックスが好転するきっかけがあれば、長期間の「買い飢え」地合いが急に解放される展開もあると思います。

 

 来週はそのきっかけになるかも知れない指標としてFOMCが出てきますので、この前後の動きも推論を交えながら予測を立てていきたいと思っています。

 

 先週に引き続き、やや尖った推測になるかも知れませんが、皆さんのトレードの足しになれば幸いです。 

 

 では、分析に入りたいと思います。

 

 

週間分析レポート及び先週動向をまとめた反省会は以下のリンクから。是非一度ご覧ください。

(各指標動向グラフは週間分析レポートに移していますので、お手数ですがそちらからご覧ください)

 


①各指標考察と動向見込み

 

 週末までの各指標動向は反省会にて記載していますが、今一度ここにも書いておきます。

 

 今週の特徴としては、

①概況:メキシコ関税措置見送りで週初は急上昇。香港デモや南ア汚職疑惑で下げるも限定的

②株価:週を通して膠着で推移。目立った動きはないものの、下値がやや強いか

③先進国債券:債券買いが強く、利回り下落で終始。日本・米国は最低水準まで低下

④南ア債券:長長期債上昇・短期債とも下落の構図に

⑤通貨指数:ドル高・円安・諸通貨安の流れ。

⑥リスク指標:金価格は一時下落もその後復調して元値で着地。一時は直近最高値に。

⑦ランド円と南ア債券(10年)の相関:債券下落に対しランド円は上昇。相関性は普通。

 …といったところではないでしょうか。

 

 クロス円は概ね下落で推移した一週間でした。ただ、下落の原因は円高ではなく、上述の通り諸通貨安によるものです。即ち、円は上昇していない(リスクの明らかな上昇は見受けられない)ものの、リスク選好的な買い需要が無い(=諸通貨安)という図式が見て取れます。

 

 この原因は様々でしょうが、洋傑は債券利回りor金価格に起因していると推測しています。

 

 根拠としては意外にシンプルで、「直近に最高値or最安値を更新した」からです。洋傑は自身でデータ採取を始めたのは3月からでしたが、その間の数値としては最大の幅になっているのは事実です。

 

 これらの理由からクロス円はじり安の展開になった、というのが洋傑の見解ですが、今後の展開についてはどうでしょうか。

 週後半はクロス円の下げも緩やかになっており、一部通貨では上昇傾向のものもあります。この傾向が続いて本格的なトレンド転換になるのか、それとも再び値を下げるかは、やはり諸指標を見なければ判断が難しいと考えます。

 

 まずは日経先物(株価)データを見てみます。

 下記は今年3月からの傾向グラフです(週間分析データ内容を一部加工)。

 

 

 

 

 上記グラフは終値での推移を記載しています。

 今週の動向で短期下落トレンドは上抜けた格好になったと考えています。洋傑は抜けないと想定していたので、この見込みは外れた格好になったと言えます。

 

 しかし、だからと言ってこのまま上昇を続けるかどうかは非常に微妙です。というのも、このグラフには記載されていませんが、年間チャートで見た場合は現在が長期の下落トレンドに入っていると言えます。

 ですので、今回の短期トレンドは転換した可能性はあるものの、一旦の調整下落に入る展開も考えられますので、株価に関しては直近の見通しも非常に不透明だと判断せざるを得ません。

 

 どうやら、株価での推測は難しいようですので、その他の指標を参照したいと思います。

 まずは先進国債券利回りから分析したいと思います。

 

 株価同様に直近3カ月のデータです。

 

 

 

 

 米国債利回りは先週下値に並び、日本債利回りは先週下値をさらに更新しました。

 この状況下で直ぐに上昇する展開はやや可能性として低いと思われます。少なくとも暫く下値滞留、下手をすれば下値を更に更新する流れになりかねません。

 今しばらくは更なる分析も必要ですが、大よそ上述の展開になると考えます。

 

 そうなった場合、債券利回りは来週前半~中盤までは上昇する展開は考えにくいと判断します。

 但し、FOMC後は別です。その後は動きが一気に活発化する事も考えられますので、警戒が必要です。

 

 債券は当面下値傾向が強いとの見解ですが、円とドルのインデックスはどうでしょうか。

 

 

 

 

 ドルインデックスは中期上昇トレンドの下限に向かうと考えていましたが、以外にも上昇に切り変わりました。後述する金価格がっ上昇する中での上昇ですので、少々意外だったと言わざるを得ません。

 しかし、短期上昇トレンドの下限は下回った中での上昇ですので、最終的には下落する可能性が高いと推測します。洋傑の見解ではオレンジラインで反転して再び下がるのではないかと考えています。

 

 対する円インデックスは短期上昇トレンドの真っ最中です。このままの展開を考えた場合、上昇する可能性が高いと言えます。0.009150を明確に下回らない限り、当面の上昇が続く可能性が高いです。

 

 いろいろ書きましたが今回のインデックス分析はやや推測的要素が強いように感じます。

 債券のような明確なラインを超えていない為、見込みは株価程ではないにしろ不透明と言えます。

 

 では、リスク指標である金価格はどうでしょうか。

 

 

 

 

 金価格は正に分水嶺に差し掛かっていると言えます。

 上記の赤ライン(終値で1350)を超えるかどうかで、今後の流れに影響がでる可能性大です。案外、諸指標の今後の趨勢を決める指標になるかも知れませんね。

 

 もし上抜けた場合、リスクは急上昇して円高が進むのは可能性として非常に高いと考えます。但し、直近の動きを見る限り、=ドル安になるかは不明瞭です。

 また、下落した場合は円安・ドル高になる展開が考えられます。こうなった場合はドルが確実に上昇してくるので、先ほどのグラフで考えるとドルインデックスは下落することなく上抜けしていく流れとなりますので、現状の動きを見る分としては、可能性として金価格は上昇することを見込んでいます。

 

 最後に南アフリカ債利回り(長長期・中長期)を掲載します。

 いつもの如く、中長期債は10年・5年の数値を2年近似値まで下げています。

 

 

 

 

 

 最近は動向把握の指標としては10年債よりも長長期債がアテになるのですが、中短期債でも面白い結果が出ています。

 先週末に10年と5年は下落する中、2年債が上昇しました。2年債は元々他の債券と別の動きを示すことが多いのですが、意外にも上昇タイミングに於いては、10年と5年の動向と連動しない事があまりありません。

 

 それがあったのが3月初旬で、その後1~3日程度でランド円は急落しています。そう考えると、今回の動きは可能性として非常に危険なサインかもしれないと言えます。

 …現状がやや上昇傾向なだけに、いささか信じにくい内容であると思いますが、一つの可能性として警戒する必要がある事は間違いないと思います。

 

 また、長長期債は前回高値を更新することができるかどうかが注目ポイントとなりそうです。既に南ア債長長期は非常に危険水準にまで達しており、この数値を超えると、本格的に7円が見えてきます。

 債券市場は月曜休みですので、火曜日以降の動向に注目です。

 

 ここまでの諸指標動向見込みをまとめると…

①株価→不透明(上向き?)

②債券利回り→下落

③円・ドル→不透明(円高・ドル安?)

④金価格→不透明(上昇?)

⑤南ア債→上昇

 …と判断します。

 

 明確な部分で言えば先進国債券利回りで、その他はやや確証に欠けますが、指標判断ではやはり下値が強いように見えます。

 …現在の予測界隈では上昇見込みが多いだけに真逆な判断となりますが、洋傑の見解では下落優勢と考えます。

 

 今回はもう一つ、ランド円のチャート分析も行います。

 

 

 

 

 ランド円は7.50円を超えるかどうかが、今回の洋傑の見込みの趨勢を握る部分です。

 7.50円は南アGDPで急落する前の数値です。まだ利下げが実行されていない状況下ではこの数値を超える展開は「ない」と洋傑は見込んで今回の予測を立てています。

 ですので、このラインを超えると洋傑の短期見込みは大きく修正しないといけない状況に追い込まれます。

 今回の予測もこの前提の上で行っている点を念頭にご覧頂きたいと思います。

 

 また、大きく上昇する展開が無い場合、7.40円までに反転して下がる展開を考えていますが、下値については大きく下がるかは微妙なところです。

 まだ膠着気味になるか、下値更新するかは不明瞭であると思います。

 


②経済指標とイベントによる影響など

 

 今週の経済指標でランド円の流れを大きく変える指標は…

①火曜日10:30…豪金融政策決定会合議事録

②火曜日18:00…独ZEW景気期待指数

③水曜日17:00…南アCPI

④木曜日 3:00…FOMC

⑤木曜日12:00…日銀金融政策決定会合

⑥木曜日21:30…フィラデルフィア製造業指数

⑦金曜日16:30…独製造業PMI

⑧金曜日23:00…米マーケット総合PMI 

 …といったところでしょうか。

 

 また、イベント関連では…

①米中易摩擦関連(関税第四弾公聴会)

②南ア一般教書演説

 

 金融関連のイベントが非常に豊富です。FOMCは勿論ですが、波瀾が多い豪州や英国なども警戒が必要です。

 また南アCPI結果は低いと利下げ観測が強まり、高いと上抜けの材料となりますので、警戒指標と言えます。

 

 また、引き続き米中貿易摩擦関連のヘッドラインには要警戒です。

  


◆週間予測及び総評

 

◆週間ランド円予測(動意範囲)

6.90円ー7.50円

◆週間ランド円終値予測

7.20円ー7.30円

 

 現状の各指標は節目に差し掛かっており、動きが緩慢になる可能性が高く、また、上値・下値とも手堅い印象が強く、現状では大きな動向に繋がる可能性はやや低いと思われる。

 相場の上抜け・下抜けは一定確率存在するものの、今週大きな動きに発展するかは不明瞭であり、動向見込みとしては膠着よりの下落を予測する。

 

※予測は洋傑個人的見解に基づくものです。参考程度にご活用ください。

 

 

 

 結果としては膠着気味の見解となってしまいました…。

 正直もう少し下がる展開を考えていたのですが、先週の底堅さを考えるとつい…

 

 そもそも上昇意見が多い中で下がる見通し自体いかがなものかという気持ちもありますが、洋傑は洋傑なりの見解で記載したつもりです。

 やはり債券利回りの動向が決め手でしょうか。イベントでの動きは未知数ですが、その点も考慮してしまうと動きが本当にわからなくなってしまいそうな局面です。

 

 相場の節目であると思いますので、判断を誤ると痛手を被りそうな感じです。無理なら早めに切るつもりです。

 

 今週もTwitterのリアルタイム情報を活用して、できるだけ情報発信していきたいと思っていますので、Twitter・ブログともご覧いただければ幸いです。

 

 来週が皆様にとって良いトレードになりますように。

 

 さあ、新しいトレードが始まります!

 (*'ω'*)ノシ