2019年5月3週ランド円予測

 次週は今週末のランド円復調を引き継ぐ形でのスタートとなります。

 一方で米中協議が不振に終わり、次回まで持ち越しになった点や、対中関税第4弾発動準備に入ったとの報道も入っており、南アフリカ総選挙が苦戦ながらも与党勝利に終わった点も含め、初動から大きく動く可能性も考えられます。

 

 株価は最終日に持ち直す形で終わっておりますが、今回の4弾関税発動発言が相場にどの程度織り込まれているのか、日経先物動向にも注目が集まりそうです。

 

 また、来週は重要経済指標の発表もそこそこあり、上述の米中貿易摩擦の動向に関するヘッドライン同様にその結果によって動意付く局面も出てくると思われますが、来週は通常の4指標(株価・債券・通貨・リスク指標)とこれら重要指標、概況のニュース(米中関連・北朝鮮関連)と影響度が拮抗した流れになると考えています。

 

 これらの状況を踏まえ、次週のランド円予測を行っていきます。

 

 さて、早速分析に入りたいと思います。

 

 

週間分析レポート及び先週動向をまとめた反省会は以下のリンクから。是非一度ご覧ください。

(各指標動向グラフは週間分析レポートに移していますので、お手数ですがそちらからご覧ください)

 


①株式動向

 

 株価は米中貿易摩擦関連の発言が飛び交う度に下落を繰り返す展開に終始しました。最終盤は動きも落ち着いて上昇傾向に向かいましたが、対中関税発動時間前に再び低迷するなど、依然として弱い地合いが継続しているのも事実だと考えます。

 

 単純な期間別チャート分析を記載しておきます。

 ①日間…上昇 ②週間…下落 

 ③月間…下落 ④年間…中立

 の判断となります。総合的には僅かに下落傾向となりますが、今週の動向自体が非常に急展開であった点も含め、これだけではやや分析が弱いと考えます。

 

 今週はトランプ砲によって下落が引き起こされ、1500円近い下落幅となりました。終盤はやや持ち直したものの、依然として地合いは脆弱であり、対中関税第4弾の準備に入ったとの報道や、米中協議も不振に終わった点に於いて動きはややネガティブに動く可能性もあります。

 一方で、上述の協議も一旦終わり、今週の「下げ過ぎた感がある」下落からの反動買いは一定需要として存在しており、今後も買いが入りやすい状況なのも確かです。

 

 以前にも同様の流れがありましたし、そういった前例からも上昇の余地の方が、下げの余地より多いと考えます。

 来週もネガティブニュースが入る可能性は一定存在すると思いますが、その都度の動きを見定めて下げが限定的、もしくは短期間で復調するようなら、急上昇する展開は高いと考えます。

 

 これらを総合的に加味しての週を通しての株価の流れとしては「不安定ながらも上昇」(日経先物で動意幅21000-22500円・終値予測で22000-22200円)であると予測します。

 

◎指標動向予測:

→上昇

◎来週の地合い:

→リスク中立・不安定

 

 


②指数動向

 

 通貨インデックスは週間で見た場合、①ドル微下落 ②円上昇 ③欧州通貨高 ④資源国+新興国は下落(一部カナダドル+南アフリカランドは上昇) となっています。

 週末にかけてランドやカナダドルは急伸したものの、資源+新興国は比較的弱い地合いです。週末の動向だけでは先進国通貨集中傾向化が分散するかは微妙なところです。

 

 まず、諸通貨のチャート分析から記載しておきます。

 

◆円インデックス

 ①日間…下落 ②週間…上昇

 ③月間…上昇 ④年間…中立

◆ドルインデックス

 ①日間…中立 ②週間…下落

 ③月間…上昇 ④年間…上昇

◆ユーロインデックス

 ①日間…上昇 ②週間…上昇

 ③月間…下落 ④年間…下落

◆豪ドルインデックス

 ①日間…上昇 ②週間…下落

 ③月間…下落 ④年間…下落

 …となっています。

 チャート分析からの判断から言えば「円中立・ドル中立・ユーロ上昇・資源国微下落」との見解になります。

  

 これだけでは分析として不十分ですので、来週の概況予測を少し含めて分析してみます。

 

 次週の展開としてはイベントや重要指標などを別にして、各通貨別に記載します。

①円…一旦のリスクイベント通過・依然強い米中対立→円微下落

②ドル…米国株の強さ・ユーロの復調→ドル微上昇

③ユーロ…欧州経済指標の好転傾向→ユーロ高

④資源国(ドル圏)…一旦のリスクイベント通過・経済好調・利下げ懸念→資源国上昇

 株式市場の開場状況や現在の通貨強弱を加味するのみで留めるとこのような結果になります。

 

 チャート分析と来週状況を含めた結果から判断する場合、「円微下落・ドル微上昇・ユーロ上昇・ドル圏(資源国)中立」となります。

 

 ランド円に直接影響を及ぼすのはドルと円・インデックス強弱の参考指標は資源国通貨インデックスがベンチマークになりますので、この点で考慮した場合、ランド円としては「比較的安定した膠着」になると考えます。

 

◎指標動向予測:

→膠着

◎来週の地合い:

→リスク中立・やや安定

 

 


③債券+金(リスク)動向

 

 債券動向は概ね下落傾向でまとまっています。金価格は上昇傾向となっており、両指標ともリスク上昇を示唆しているとの判断ができます。この点は先週と同様です。

 

 チャート分析で見た場合、現在の状況は…

◆日本債利回り(微上昇)

 ①日間…中立 ②週間…上昇

 ③月間…中立 ④年間…下落

◆米国債利回り(中立)

 ①日間…上昇 ②週間…下落

 ③月間…中立 ④年間…下落

◆ドイツ債利回り(下落)

 ①日間…中立 ②週間…下落

 ③月間…中立 ④年間…下落

◆豪州債利回り(下落)

 ①日間…下落 ②週間…下落

 ③月間…下落 ④年間…下落

◆金価格(上昇)

 ①日間…上昇 ②週間…上昇 

 ③月間…下落 ④年間…下落

 …となっており、上述分析で見た場合、「債券利回りやや下落・金価格上昇」と判断できます。債券動向は国別でやや乖離が出ている状況です。

 

 各国とも急落傾向でしたが、週後半の動向はやや異なっています。欧州は大幅な下落をカバーするに至らず、逆に米国や日本は殆ど持ち直した格好です。

 

 では、南アフリカ債利回りはどうでしょうか。チャート分析で見た場合、

◆10年債利回り

 ①日間…下落 ②週間…下落

 ③月間…中立 ④年間…中立

◆2年債利回り

 ①日間…下落 ②週間…下落

 ③月間…下落 ④年間…下落

 …となっており、チャート分析で見た場合は「下落(ランド円上昇)」を示唆していると言えます。2年債は先行指標の度合が強く3週間程度下落をしていましたが、この動きに10年債が連動し始めました。

 

 今週終盤から10年と2年の債券利回りが同様の動き(尚且つ急落)という形を取り始めたのはランド円上昇にとってかなりの影響を及ぼすものと推測します。

 また、この傾向は当面続くことが想定できるので、かなりの確率でランドインデックス上昇に強く寄与するものと考えています。上昇期間は分かりませんが、3月末の動向が2-3週間続いたことを考えると、恐らく同程度は続くのでは、と想定しています。

 

 とはいえ、債券利回りのみの判断で、この項目は記載します。

 

 先進国・資源国・南アの債券動向をチャート分析・現状を加味した場合、ランド円は「不安定ながらも上昇」となると考えます。

 

 これらの分析判断とは別に、直近の南ア債利回りの上昇・下落水準の目安予測を記載しておきます。

 現在のランド円上昇・下落の動きを示すのに必要な2年・10年債利回りの水準は…

①10年債8.700以上・2円債6.900以上…7.600円割れ

②10年債8.300以下・2年債6.500以下…8.000円超え

 …と想定しています。

 

 南ア10年債利回り単体で考えた場合、現状の動向は「ある程度明確な上昇」を示唆していると考えていますが、先進国債券が下落傾向である点、金価格もリスクの観点から考えれば上昇=リスク上昇ですので(ドルの反比例指標でもあるので、単純なドル下落を示唆しているだけとも言えますが)、概況のリスク示唆が上昇している点には十分注意する必要があります。

 仮に南ア債利回り通りに上昇するにしても、急落→急上昇のようなアップダウンの激しい流れも考えられます。

(先週同様の見解です)

 

◎指標動向予測:

→上昇

◎来週の地合い:

→リスク中立・不安定

 

 


④国内状況・世界概況

 

◆国内状況(ランドに対する影響)

※現在の段階での影響予測を記載

ⓐESCOM問題…中立

ⓑSARB国有化問題…中立

Ⓒムーディーズ格下げ懸念…中立

ⓓ土地収用問題…中立

ⓔ南アフリカ総選挙終了…上昇

 

 

◆世界状況(ランドに対する影響)

※現在の段階での影響予測を記載

ⓐ日米・米中・米欧貿易戦争…下落

ⓑ消費税増税関連…中立

Ⓒ世界的な景気減速感…中立

ⓓブレクジット関連…中立

ⓔ北朝鮮核開発関連…やや下落

ⓕイラン原油禁輸関連…中立

ⓖ米国利下げ懸念…中立


 

 全体概況は米中貿易戦争に終始した感じですね。今週は本当に振り回されました。

 毎朝のトランプ砲や中国からの応酬発言の連発に株価を中心に急落が続く展開となりました。ポジティブな内容は殆どなく、終始下げの危険性を孕んだ状態で進んだ一週間だったと思います。

 

 一時的に北朝鮮の飛翔体発射報道(最終的には弾道ミサイルど判断されましたが)もありましたが、結局株価や為替への影響は限定されました。完全に蚊帳の外といった扱いです。

 

 こういった話題は来週も尾を引く可能性もありますが、散々下げて「下げ過ぎた感」がある現在の市場動向には大きな影響を与えるかは微妙なところです。

 週末にはトランプ砲(対中関税第4弾発動準備)も出ましたが、実際の関税UP発動も通過しましたし、その発言自体も今週何度も聞いた内容です。そこまでの影響が出るかどうかも未知数だと考えます。

 

 南アフリカでの話題と言えば南ア総選挙に終始しました。こちらは徐々に与党ANCの議席数が判明するにしたがって上昇していった感じですが、はっきりした結果が出たのが今週の為替取引クローズ後でしたので、その動向も週明けに出る結果になると思います。

 内容的に3月末のムーディーズ格付け報道に近い内容だと思うので、週明けは上窓が開くような気がしていますが…こればかりは推測の域を出ない「期待」に近いです。

 

 それらを加味し、国内+世界概況で判断した場合、ランド円は「上昇」と予測します。

 

◎指標動向予測:

→上昇

◎来週の地合い:

→リスクやや低下・不安定

 

 


⑤重要経済指標

 

◆月曜日

10:30…豪住宅ローン(★)

 

 

◆火曜日

 8:50…日経常収支(★★)

10:30…豪NAB企業信頼感指数(★★)

15:00…独CPI(★★)

16:00…スペインCPI(★★)

17:30…英求職者給付受給者増減(★★★)

18:00…独ZEW景気期待感指数(★★★)

     …EU圏ZEW景況感指数・鉱工業生産(★★)

18:30…南ア失業率(★★★)

21:30…米輸入・輸出物価指数(★★)

 

◆水曜日

10:30…豪労働賃金指数(★)

11:00…中失業率+鉱工業生産(★★★)

15:00…独GDP(★★★)

15:45…仏CPI(★★)

18:00…EU圏GDP(★★)

20:00…南ア小売売上高(★★★)

21:30…米小売売上高(★★)

22:15…米鉱工業生産(★★)

 

 ◆木曜日

10:30…豪雇用統計(★★★)

17:30…伊CPI(★★)

18:00…EU圏貿易収支(★★)

19:00…ユーロ圏財務相会合(★★★★)

21:30…米建築許可(★★)

     …フィラデルフィア連銀製造業指数(★★★)

 

◆金曜日

18:00…EUコアCPI(★★)

 


 

 重要指標が多いようで少ないような…微妙な週です。

 月曜日は目立った指標発表もなく、朝からの動向を引き継ぐ形で推移すると考えています。火曜日からは独ZEW景気期待感指数や、水曜日には中国失業率+鉱工業生産、と独GDP、木曜には豪雇用統計と、その都度重要指標はありますので、指標結果には要警戒です。

 

 全体的な重要指標は少ないものの、南ア指標は比較的豊富で、尚且つ重要指標が多いように感じます。火曜日の南ア失業率や小売売上高はランド円に与える影響も大きいと思いますので、こちらも要チェックです。

 

 週を通しての特徴は月曜と金曜に重要指標の発表が無い点です。これは一番動向把握とポジション決済の有無に好影響を与えると考えています。

 そういった意味では週初・週末は通常指標(株価・債券・通過・金+原油)の結果に左右される可能性が高く、 その動きの把握もしやすくなる、といったメリットはあると考えます。

 

 


◆週間予測及び総評

 

◆週間ランド円予測(動意範囲)

7.50円ー8.10円

(リスク中立・不安定)

◆週間ランド円基準値

7.85円

(やや上昇)

◆週間ランド円終値予測

7.85円ー8.00円

(上昇・不安定)

 

①株式動向での判断は、米中協議の一旦の終了による安堵感からくる買い需要と、対中関税第4弾発動準備報道による売り傾向との拮抗になる可能性もあるものの、今週までの売り優勢からの反動なども加味すると、結果として株高・ランド円は上昇すると予測される。

 

②指数動向での判断は、先進国通貨主体で通過高になる可能性もあるものの、現状では不透明であり、資源国・新興国でも通過強弱の差が大きく統一した動向が掴みづらい状況ではあるものの、現状からの判断ではドル・円とも大きな上昇は起きない展開も予測され、資金動向はやや分散傾向になると考える為、ランド円は膠着すると予測する。

 

③債券動向での判断は、概ね各国とも債券利回りは下落してリスクは顕在化している状況に変わりはないものの、今週末にかけて下落する傾向に進んでいる点や、日本債の動向、何より南ア債(2年・10年)が同時に急落する流れになった点を重く捉え、ランド円は上昇すると予測される。

 

④国内外概況からの判断は、引き続き米中貿易戦争に関する脅威から上値は抑制されがちである点は否めないものの、今週のネガティブニュースにもランドは強かった点や、南ア総選挙終了からくる安堵感から、ランドは上昇すると予測する。

 

 以上の点を総合的に判断すると、

 

 傾向として、ランド円は上昇・動意は不安定と判断する。

 

※予測は洋傑個人的見解に基づくものです。参考程度にご活用ください。

 

 

 

 当初から見込みを決めていたので、最終的には上昇で決着すると考えていましたが、分析の結果からの判断でも上昇予測に帰結しました。

 

 洋傑、前週の南ア債利回り動向が2年・10年とも急落で推移した事で「ランド円動向は反転上昇傾向に入った」という見解に至っています。

 他の記事にも多数記載しましたが、3月末も同様の傾向で週明け上窓、週を通して急上昇の流れになったのが4月初旬となりました。洋傑は今回も同様の流れになる(やや地合いがネガティブなので、動きは緩やかかも知れませんが)と強く考えています。

 

 概況の動きは変動しやすいとは考えていますが、案外、ランド円の推移は影響を受けにくい状況になるかもしれません。

 また、重要経済指標の結果如何では急な変動も発生しかねませんので、一定の注意は必要です。

 

 ここらの動向については週間ランド円動向レポートで確実に抑える必要がありますので、先週に引き続きレポートは毎日アップするようにします。

 

 来週が皆様にとって良いトレードになりますように。

 

 さあ、新しいトレードが始まります!

 (*'ω'*)ノシ