2019年5月5週ランド円予測

 次週は先週末の「株価膠着・債券利回り下落・ドル安+円高+諸通貨高」地合いからのスタートとなります。

 米中貿易摩擦は然程の進展もなく現在に至っており、未だに先行きが明るいとは言えない状況です。その反面、概況は一時的なリスク緩和状況(トランプ大統領の来日)に入っている事もあり、リスクは依然として強いながらも、短期間ながら影を潜める展開も見えてきました。

 

 というのも、ここ2~3週間程は売り優勢で為替相場が推移しており、売り疲れ感が蔓延しています。

 「買いたいが、リスクが高くて売りに走る」状況が続いている訳ですが、先週アタマにあった豪州総選挙の結果に伴う上昇のように、規模は関係なく「何か」ポジティブニュースがあれば上昇する素地が整っている状況である、という判断は間違っていないと考えます。

 

 とは言え、リスクは何も後退していません。それは先進国債券利回りを見ても明らかです。

  来週はリスクが根強い中、僅かな買い材料で上昇する機会を狙う、安定性を非常に欠いた相場状況でのトレードになる点は念頭に入れる必要があると思います。

 

 また、相場の急変はここひと月の中でも最高潮に達するかも知れません。目を離す事が多いのであれば、あまり大口でのトレードは控えた方が良いかも知れません。

 

 では、分析に入りたいと思います。

 

 

週間分析レポート及び先週動向をまとめた反省会は以下のリンクから。是非一度ご覧ください。

(各指標動向グラフは週間分析レポートに移していますので、お手数ですがそちらからご覧ください)

 


①各指標考察と動向見込み

 

 週末までの各指標動向は反省会にて記載していますが、今一度ここにも書いておきます。

 

 今週の特徴としては、

①概況:米中関連報道で下げる展開が継続。欧州指標でも弱い結果で下落展開が強まった。

②株価:やや下落寄りの膠着相場。20800-21400円間で推移。週を通してやや下値が強い相場。

③先進国債券:債券買いが強く、利回り下落で終始。。

④南ア債券:週を通して下落が非常に優勢。この動きは継続する可能性も。

⑤通貨指数:ドル安・諸通貨高で推移。特に円高が顕著。

⑥リスク指標:原油価格の下落が非常に顕著。新興国・資源国にはじわじわ効いてくる可能性アリ。

⑦ランド円と南ア債券(10年)の相関:債券下落に対しランド円も下落。相関性は弱い。

 …といったところではないでしょうか。

 

 一番最初に「僅かなポジティブ材料があれば上昇しやすく、トランプ大統領の来日で上昇しやすい」と書きましたが、先週末までの状況は依然として「リスク顕在化・下落基調」である点は念頭に入れる必要があります。

 

 つまり、”上がりそうな見込み”なだけで、現状は”下げ基調”ですので、その上昇見込みは「反転予測」となる点に注意する必要があります。

 反転予測は当たれば大きな利益が見込めますが、その整合率は低いと言わざるを得ません。

 ここでの買い建ては「リスクが高い」トレードである事は再度認識しなくてはなりません。

 

 それ程までに、今の状況は長い下落基調の中にあります。

 

 各指標動向も非常に二極化が明確になってきています。その内容は各指標ごとに記載します。

 以下の点です。

 

①株価は下値が強いながらも底堅い(膠着)

 …文字通りの内容です。先週の株価も週始めに上昇傾向になった後は一気に収束して下落傾向に切り替わり、下値の非常に強い展開に終始したように感じます。

 しかし、動き自体は非常にじり安が続く流れで、底堅い展開であったと考えます。また始値と終値の推移から見た内容も鑑みた場合、株価単体の指標で見た場合は動向傾向は「膠着」だと判断できます。

 

②先進国債券利回りは週を通して低い数値(下落)

 上述の通り、米中貿易摩擦の影響を最も受けている指標でしょう。利回りは週半ばまで膠着程度で推移しましたが、これも株価の中盤までの上昇から見ると低い水準のように感じます。

 その後は下落して、終盤まで下落基調は変わっていません。今なお、根強いリスクを背景に債券買いが収まった気配は感じられず、依然として「下落」基調であると判断できます。

 

③通貨インデックスは堅軟織り交ざった内容(下落or上昇?)

 現在の概況を最も形容している指標が通貨インデックスだと思います。週間での動きはドル安・円高・諸通貨高でした。

 ドル安・円高であれば構図はリスク回避に動いていると言えますが、円高が進む中、諸通貨(ユーロ・フラン・資源国・南ア)も上昇した点は非常に特異であると言えます。

 リスクの上昇は円高から分かります。総じて円高のペースが速かったのでクロス円は概ね下落になりましたが、単純なリスクオフとは一線を画した展開です。円高が止まって反転すると一気にリスク選好ムードが広がる展開になっている部分が、現在の「何かポジティブ材料があれば上昇に転じる」傾向を形容しています。

 

 これらの概況を鑑みた場合、単純な足し算で考えれば未だに下値が強い傾向であると言えます。

 しかし、今週の為替相場を引っ張ったのが株価(転じて円インデックス)であった点を考えると、膠着の株価が上昇する事で円安・諸通貨高が進み、一気に下落→上昇と傾向が反転する展開になりかねません。

 

 そういった意味で、最初に「動きが不安定で大口トレードは危険」といった訳です。

 

 今週は上述の日経株価と円インデックス主体で相場が変動したわけですが、ランドインデックスの動向も見ていきたいと思います。ランドインデックスのベンチマークたる南ア10円債・その先行指標の要素が強い南ア2年債の動きは以下の通りです。

 

 現在の中長期債動向グラフと前回掲載した加工グラフです。ご覧ください。

 

 

 

 

 先週の週間予測に掲載したのが上側、今週までの推移が下側となります。

 一時は逆三尊になりかけましたが、結局は下抜けてそのまま下落幅を広げる形で終了しました。

 

 南ア10年も2年も下落していますので、ランドインデックスとしては「上昇」している事になります。つまり、ランドも他の諸通貨同様に上昇しているのです。

 他の通貨ペア同様に円高が進んでいる為に下落した、というのが正しい見解のように感じます。

 

 となると、こちらも株価(ひいては円)の変動次第で「どちらにも行ける」状況だと言えますね。

 その下落幅も今年最低値を記録しており、ランド単体で言えば相当な上圧力がかかった状態であることは間違いありません。

 


②経済指標とイベントによる影響など

 

 今週の経済指標でランド円の流れを大きく変える指標は…

①水曜日16:55…独失業率増減

②木曜日18:30…南アPPI(生産者物価指数)

③木曜日21:30…米国内総生産

④金曜日11:00…中国製造業PMI

⑤金曜日21:00…南ア貿易収支

 …といったところでしょうか。

 

 また、イベント関連では…

①南アフリカ新閣僚発表

②米中貿易摩擦関連

③欧州議会選挙

④トルコデフォルト懸念

⑤トランプ大統領来日

 

 重要指標はやや重みに欠ける内容が多く、これによってトレンド転換するような流れにはならないと考えます。今週の指標の中では自国(南アフリカ)指標が比較的重要ではないかと思います。

 PPIは政策金利据え置き傾向になるか、利下げになるかの判断材料にもなるので、予測を下回る結果になった場合はランドの下値が強くなると思います。

 

 その他、イベントは非常に好悪混ざった内容です。…というより悪い材料が多い状況ですが、先述の通り、僅かな買い場を縫うように買い需要が高まりやすい地合いですので、非常に判断が難しいですね。

 

 イベント関連はランド円のトレンド転換(もしくは促進)に至るだけの材料を持ったものが多いです。米中貿易摩擦関連ではこれ以上のトレンド促進(急落)は無いと思いますが、欧州議会選挙やトルコ関連・南ア閣僚発表は内容如何で急落・急騰の展開になり得ます。

 

 イベント結果だけは出てみないと分かりませんが、イベントによる相場の流れは以下の展開が考えられます。

①悪材料が重なり「ショック」級の暴落が発生するも、急激に持ち直してプラスで終了

②良材料が重なり急騰、多少の下落も経ながら、そのまま高値維持で終了

③材料的には半々で終わり、現状のトレンド内で推移して終了

 

 結論から言えば③の展開を除いて上昇すると考えています。但し、①の場合はかなりの下落を(短時間ながら)伴うので、トレードポイント次第では仮に上昇してもロスカット、なんて展開にもなりますので、細心の注意を払う必要があります。

 


◆週間予測及び総評

 

◆週間ランド円予測(動意範囲)

7.00円ー8.00円

◆週間ランド円終値予測

7.70円ー7.80円

 

 

 現状の指標判断・イベントなどによる影響を加味した場合、相当に大きな動きになる可能性が高く、動向も不明瞭かつ不安定であると考える。ただ、潜在的な買い需要が相当高まっているのも事実であり、急落等に陥っても採取的には上昇すると推測する。 

 

※予測は洋傑個人的見解に基づくものです。参考程度にご活用ください。

 

 

 

 今週の動向予測は非常に不安定かつ激しい動きになると考えました。

 正に「今週相場に天井なく、底も無し」といった感じで、ポジションの長期保有は危険な週と言えます。そういった意味でもは週間ランド円動向レポートで確実に抑える必要がありますので、先週に引き続きレポートは毎日アップするようにします。

 

 トルコや欧州が不穏ですので、これらのニュースには最大限の警戒をお願いします。結果如何では昨年夏のトルコショックや年始のアップルショック等のような流れになる事もゼロではありません。

 

 更に、繰り返しになりますが、少ない買い材料でも円売りに傾きやすい状況ですので、特にネガティブニュースが流れない場合は一気に急上昇もあり得ます。

 ともあれ洋傑は最終的に上昇傾向になると考えています。

 

 トレード戦術についても基本的に買い一本で臨むつもりですが、そのポジション建てはかなり慎重に行うつもりです。「上昇はしたがロスカット」になったのでは悔やみきれませんので。

 加えて、長期保有はせずに毎日決済するつもりです。

 

 来週が皆様にとって良いトレードになりますように。

 

 さあ、新しいトレードが始まります!

 (*'ω'*)ノシ