洋傑のつぶやき(直近のランド円展望について・再考察)

 昨晩の南アフリカ政策金利発表は、意外な内容と展開に終始しました。まずは金利発表内容、個人的にはここで利下げしないと今後の展開から格下げ懸念が強まるので、下げないとやばいと考えていましたが、その考えが支配的であったのか、結果としては利下げに踏み切っています。

 この時点でランド円は5銭程度の急落をしましたが、早々に全戻りしています。この取り方はそれぞれでしょうが、利下げによって格下げ懸念が後退したから、といった見解を洋傑はしています。

 

 この動きを見る分には、結果的には利下げした事でランド円下落を食い止めた印象が強いです。おそらく利下げしなかった場合は昨晩洋傑が書いた流れになったと思います。利下げしない事で一時的には上昇も、その後は格下げ懸念が強まった事で下げに転じる、といった事になったのではないでしょうか。

 

 それによって下値は限定的になりました。こうなると逆に上昇相場に…と言えるほど上値に余裕がないのも事実です。ここまでの推移によってランド円は実体相場より高値になっている感が強いです。この7.6円という値は昨年初め程度の水準であり、これまでの状況から考えれば、とても同じ値になる状況ではないといえます。

 

 これらの状況からランド円は上昇も、下落もできない事態になっています。しかしながら、できない理由については内容が異なる事も事実です。

 まず上昇ができない状況は上述の通り、実体経済とランド円のバランスから考えた場合(洋傑はエコノミストではないので詳細は分からないものの、昨年の同価格状況から比較して)、これ以上の値が付きにくい状況にある点が大きいと思います。逆に下落できない理由は昨日の利下げによって”一時的に”格下げ懸念後退している点です。

 前者は現状からの不可抗力、後者は瞬間的な防波効果である、と洋傑は見ています。

 

 もしそうであるならば、上昇よりは下落が自然な流れと言えますが、やはり瞬間的な底堅さを形成している現状に於いて、何かしらの推進力が無ければ下げも困難です。

 本記事は現状の諸指標推移考察と、ランド円が下げる為に必要な指標推移について、洋傑の考察を書きます。

 

※本記事は洋傑の独断と偏見に基づいた推移展望推測であり、当然ではありますが、明確な推移示唆をするものではありません。その点をご理解の上、ご覧ください。

◆諸指標考察:底堅い地合いと、脆弱な南ア指標

 

 まずは諸指標推移と、南アフリカ債利回り推移、検証中指標分析による判断とを記載します。

 

◆株価

 異常な底堅さを誇っています。直近では100円程度の下げがあってもすぐに持ち直し、むしろやや持ち上げるような推移で進んでいる為に、徐々に上昇すらしている感じです。

 今のところ値崩れするような雰囲気は無い上に、24000円に上昇して安定した感すらあります。株価だけで見た場合には、今のところ懸念材料は見受けられません。

 

◆指数

 ドル横ばい・円安で進んでいます。昨晩のフィラデルフィア指数も異常に良かった事で、上がり始めていた円が再び下がってクローズしています。ドルは頭打ちになっている感がありますので、避難通貨としての伸びが弱まっているのであれば、円の上昇余地はあるかも知れませんが、単体指標でみた場合には、判別が困難です。

 

◆債券

 米国・日本債とも上昇傾向ですが、指数同様に推移に差があります。

 米国債利回りは強い上昇傾向となっており、まだ伸びる雰囲気がある反面、日本債は高値圏から徐々に下がってきています。こちらも円やドル推移同様に、まだ見定めができるほどの材料に欠けます。

 

◆リスク指標

 金は底堅く推移していますが、週始めに急落していますので、その分を持ち直した、といった格好です。

 円やドルがやや下がっている状況に対して、こちらは火曜以降は上昇傾向です。潜在的なリスクは下がる事無く、むしろ拡大していることが伺えます。こちらは上述の通り上昇傾向ですので、このままの流れで推移するなら、週末クローズまで上昇を続ける展開が、可能性としては高いと考えます。

 

◆南アフリカ債利回り

 昨晩までは10年はほぼ横ばい推移で進んでいましたが、昨晩の利下げによって急落しています。これは格下げリスク後退による債券買い(リスク選好)…だけではなく、利下げによる利回り下落もあると洋傑は考えています。

 10年債利回り推移を見るだけでは推移を見定める事が困難なので(利下げ自体がもろにこの指標へ影響を及ぼす為)、長期債である20年を中心に分析を進めたところ、昨晩の急落前の水準まで殆ど戻っています。

 これはリスクが依然として存在し、ランド円が下げ方向から脱していない事を示している、洋傑は考えています。

 20年債利回りに於いて、昨晩急落した水準ですら、中期上昇トレンドを下抜けしていません。むしろ一度バウンドして再度上昇するような雰囲気すら感じます。今日の推移次第でランド円に強い影響を与える事は、十分に考えられます。

 

◆検証中指標分析

 こちらは先週の週間展望に書いた通り、今週末~週明けにかけて急上昇のサインが出ています。同時に直前は急落サインも出ており、この指標が的中するなら、上昇前には大きな下落がある事を示しています。

 昨晩のランド下落がそう…ではないと思います。下げ幅があまりにも小さいからです。これは個人的見解が強いですが、まだ大きな下落は来ていない=まだ上昇局面ではない、と判断します。

 

◆まとめ

ⓐ株価は底堅い雰囲気で値崩れする気配なし

ⓑ指数・債券は一部(ドル・日本債)に鈍化が見受けられるものの、まだ推移を左右する程ではない

Ⓒ金価格は上昇傾向でリスク上昇示唆。ただいつ顕在化するかは未定

ⓓ南アフリカ債は長期債で見た場合にランド円下落の可能性はあり。今日の推移次第か

ⓔ検証中指標分析では急落が発生していない事から、まだ下げる可能性が高い

◆ランド円の上抜け懸念材料と、下抜けに必要な指標推移について

 

 東京時間や深夜帯は、円インデックスと株価(日経先物)による影響を受けると思います。

 この時間帯に大きくリスクオフに傾かない以上は、じり高になる可能性はありますが、恐らく相場の上抜け・下抜けに関わる流れにはならないと考えています。

 

 因みにここでの上抜けは7.67円・下抜けは7.58円です。

 

 諸指標推移は東京時間・深夜間に与える影響は強いものの、欧州時間はほぼ南アフリカ債利回り推移で左右されるので、ここでは南ア債利回りに絞って書きます。

 

 昨日のTwitterにて、20年利回り推移が直近最高値を越えたら流れが変わる可能性大、と呟きましたが、昨晩は最高値にタッチしてそのまま下落してしまいました。この動きが再度今日出れば、ランド円下落に傾く可能性は相当高くなります。

 逆に、下抜けする展開もあり得ます。その場合にはランド円は上抜けという形で上昇する事になりそうですが、大きく捉えた場合には下がる下落トレンドを崩す展開になるとは考えていません。よって、ランド円の直近最高値7.83円を越える展開にはならないと考えていますが、ここでは直近の推移展望として書いていますので、ご了承ください。

 

 ここで見解をまとめます。

ⓐ20年債利回りが10.145に達した場合、ランド円は7.58円下抜けの可能性大

ⓑ20年債利回りが10.070を割り込むと、ランド円は7.67円上抜けの可能性大

Ⓒ上述の範囲内で収まった場合、引き続き膠着相場継続の可能性あり

 

 個人的には膠着継続の可能性は低いと思いますが、現状は昨晩での底堅さから、相当の買い需要がある可能性もあり、相場の売買攻防が激化する事も十分あり得ます。初動からすんなり下がれば良いですが、暫くは値動きが急変する展開を考えます。

 上抜けした場合の高値目処は7.73~7.78円前後、下抜けした場合の下値目処は7.20-7.40程度と考えます。

◆洋傑の個人的トレード戦術

 

 結局昨晩はポジション建てできずに終わってしまったため、今も7.70円の売りポジション保持するのみに留まっています。

 上述の下抜け条件である南アフリカ債(20年)利回りの直近最高値更新をした時点で、タイミングを見て洋傑は売り建てを行う予定です。それまでは現状のポジションん保持のみで臨みます。

 逆に、7.67円を越えた時点で今のポジションは決済します。基本的には下げ目線で見ていますのでそのままホールドしても良いかも知れませんが、そこまで上昇してくると7.70円を越える水準まで上昇する事も十分考えられますので、一旦は決済して、本格的な売り立て再開は7.73円程度にするつもりです。

 

 上述の7.67円越えをした時点で買い建てもひとつの戦術としてありかも知れませんが、基本的に想定している相場展開と逆のポジション建てで得した経験が無いので、おとなしくする、つもりです(笑)。

 

 今の膠着相場が動き出すと、恐らくは一気に相場が動き出すことが予想されます。一度ポジション建てを間違うと大きな損失に繋がりかねないので、慎重かつ大胆にトレードを行う必要があります。

 

 週末に波乱の展開が来る可能性は…高い、と思う。

 (*´ω`*)