洋傑のつぶやき(概況推移考察・それに基づく次週の概況推移展望)

◆弱まる米国株・異常なドル高/諸通貨安・債券推移の異質化・南ア債異常上昇…

 

 今週一週間はアップダウンの激しい一週間となりました。初動は大幅な株安からつられてクロス円はオープン前から暴落しました。ですがその直後に発表されたFRBの緊急利下げによって一時的に急激な株高・クロス円上昇に舵を大きく切りました…が、その直後から再度株安に流れて大幅下落と、急激すぎる相場推移となっています。

 それに付随する内容ですが、世界が大幅な金融緩和を実施したにも関わらず、株価は全く持ち上がっていないのが特徴的であり、また軟調株価の中心が(これは個人的所感ですが)日本から米国に移っている部分も今後の不安をさらに増幅させる一因となっているように感じます。

 また週末にかけては動きが弱まりましたが、週半ばは特に「総売り」ともいえる地合いが発生しました。株価・通貨(ドル除く)・債券・リスク資産など、通常はある程度の相反性をもって推移する諸指標が全く同じ方向を向く事態が起きていました。これは洋傑の今まで経験したことのない状況であり、諸指標は機能せず、ランド円展望も混迷を極めました。

 

 株価推移は上述の通り、非常にアップダウンが激しい週間でした。初動はオープン前の急落・オープン後の急騰・その後の急落と、相場が目まぐるしく変わり非常に混とんとしました。また米国市場に於いてサーキットブレーカーが再度発動・その後の大幅な持ち直しの毎夜繰り返し…と、日に1000ドル変動することが当たり前のような異常相場が続いています。

 また、これも上述した内容ですが日本株は週半ばをそこに上昇傾向であるものの、米国株は週末まで下落を続けてクローズしました。この点は週末のサンデーダウにも大きな不安を残しそうな気がします…。

 次週の推移はこの米国株の下押しがどこまで続くか(もしくはどこまで進むか…)になってくると思います。チャート推移ではまだ持ち直しそうな気配が見受けられません。しかし、2009年の最安値6460ドルから最高値29540ドルまでの値幅(23080ドル)から直近の下値18770ドルまでの下落幅(10770ドル)のフィボナッチ・リトレイスメントは46.7と、これを見るとまだ下げ余地は3%(ジャスト18000ドル)まで余地がありそうな雰囲気です…。

 では日経先物はどうでしょうか。こちらも最安値6830円から最高値24480円までの上昇幅(17650円)から、直近最安値15860円までの下落幅(8620円)のフィボナッチ・リトレイスメントは48.8と、わずかですが1%程度の下げ余地(15650円)はあるように感じますが、この程度であれば50.0の節目と認識されても不思議はない状況です。加えて日経が下げ渋る気配を見せている点も大きいかもしれません。

 以上の点から次週の株価推移は米国株下落・日経じり安で節目まで下落後に一旦反発する流れを推測します。

 

 通貨指数動向はドル高・諸通貨安で動きました。これは円・フランも例外ではなく、ドル以外のほぼ全通貨が売られるという流れになっています。上述の通り週を通して株価は下落傾向ですが、円も同時に下った点は先月の株安・円安を彷彿とさせるものがあります。

 資金流動の構図は総売りの流れが強かった週半ばまでとは異なり、週末にかけては流れにも変化が見られます。すなわちドル高・諸通貨高の傾向です。これは今までとは真逆の推移と言えます。今週はあまりのリスク上昇にすべての金融資産からの引きあげが見受けられましたが、その反動が始まっている可能性もあります。そういった意味では次週の流れとして今までの反動上昇があるかもしれません。

 

 債券動向は今週初動から動きに変化がありました。これは株価や通貨インデックスでも触れた通り、すべての金融資産からの引き上げによる利回り上昇です。これにより、本来顕在リスク指標である債券利回りが全く為替推移に生かせなくなりました。幸いなことに各国通貨インデックスとの相関性は何とか残っていた程度で、従来ほどの利用価値には及ばなかった印象です。

 その債券動向も次第に改善しつつあります。これは体感的な意見なので信ぴょう性は低いですが、週末の株価との相関性は決して悪いものではありませんでした。これも通貨インデックス同様に金融資産からの引き上げに於ける反動の側面もあるかもしれません。

 まだ債券は機能が回復しつつある段階であり、直近推移は参考にできない要素が多く、この指標から次週の展望を推し量るのは危険であると考えます。

 

 リスク指標も金は債券同様にまだ信ぴょう性が保証できる段階とは言えませんので割愛します。

 

 南アフリカ債利回りは週を通して上昇傾向顕著です。その上昇も今までの0.050程度の上昇などとは比較にならない、その10倍規模の推移が日々展開される異常展開となっています。これも各国の金融資産引き上げの流れによるものであったとしたら、ムーディーズ格付けを目前に控える南アフリカ債からの引き上げはそれだけ顕著になったこともうなずける部分があります。

 ただ、その推移の中でも上昇傾向には変化が見られます。先日は一昨日や昨日の高値を越えることなく横ばい(やや下向き)に推移しました。これ以上の上昇が発生しなかった場合、三尊形成となり急落することも考えられます。…というよりその利回り上昇もリーマンショック後の最高値を更新しており、「一定売り払われた」可能性が高いことも含めて考えた場合、もうそろそろ「下がるしかない」状況にあるとも推測されるからです。

 

 総合的な部分としては、株価はまだ下げる余地がある部分がありつつも米国・日本での推移の温度差がある点、通貨資金流動に於いても総売りからの戻りが観測される点などから、相場は下げ渋りの段階に入る可能性が高く、今後は一定の下げののちに持ち直しも可能性として高まってくると推測される。一方で債券・リスク指標推移はまだ信ぴょう性が低く、相場不安定化が収まるかは不明瞭。

 南アフリカ債利回りは異常上昇によって10年来の最高値を更新しており、今後は下落することも考えられるが、格付け前でもあり、その推移は日々大規模なアップダウンによって不安定化する可能性が高い。

◆概況動向から考える、次週の展望について(ランド円除く概況推移展望)

 

 以上の動向から、次週の書く諸指標推移を以下のように考えます。

◆総合判断:概況は不安定化・上下繰り返し・最安値更新を伴いながらも徐々に持ち直しへ

◆諸指標根拠:

 ①株価:ダウ・日経とも下値に於ける反発点が近い+日本株の上昇気配

 ②指数:諸通貨総売りからの回帰気配

 ③債券:上昇傾向

 ※備考:債券推移は信憑性は低い

 

 …となります。概況推移を総合的に判断すると「下げ止まりが近いが、下値更新はある」といった言い方が良いかもしれません。

 明日アップの週間ランド円展望は、この諸指標概況推移展望を基に、南アフリカ債利回り推移や検証中指標分析法・エリオット波動の観点から総合的に記載します。