洋傑のつぶやき(概況推移考察・それに基づく次週の概況推移展望)

◆株価堅調とドル安+諸通貨高。顕在リスクと潜在リスクの乖離が懸念材料

 

◆ランド円全体推移

 今週一週間のランド円は初動の下落を除き上昇相場となりました。初動は先週末のフィッチ格下げによる影響なのか、週明けオープン以後にじり安→急落となりました。前週末にフィッチの南アフリカ格下げがあったため、週末クローズにかけてランド円は値を下げました。それで一定相場折り込み済であったのか、週末相場ないし週明けオープン直後まで横ばいないし高値推移であったものの、時間差で訪れた推移に驚きました。5.7円前後でスタートしたランド円は一時5.609円まで値下がりしました。

 しかしながらその後は堅実に値を上げる展開になり、5.7円・5.8円…と続き、最終的には6.09円まで約50銭程度の上昇を週間で成したことになります。これは概況による押し上げ(週半ばにかけての円安・週間通して下がったドル・株価の堅調)による部分と、南アフリカ債利回りの下落による自国事情による部分が大きいと考えます。

 

 実際、波動的にはもう少し下げる余地があったと考えていました(最低でも5.54円までは下げると洋傑は考えていました)ので、想定より高値で上昇した点が想定外でした。ただ、検証中指標分析の観点から言えば、週明け~火曜日までの段階で上昇するサインが出ていた点を考慮すれば、推測することも可能だったかもしれません。まだまだ検証不足です。

 

 

◆株価(日経先物・ダウ先物)

 株価推移は金曜日にinvesting.comに於ける日経先物が動いていませんでしたので、殆ど木曜クローズ時点までの推移となりますが、初動の急上昇を除けば、底堅くじり高となった印象です。200~300円程度の急落は都度ありましたが、チャート推移で見れば殆ど値崩れしていません。しかも比較的長い期間崩れずにわずかながらも上昇している点から、依然として底堅い動きも推察できると考えます。

 

 先週の概況推移記事で書いた内容でもあると思いますが、直近株価の高値から安値までの推移は以下の通りです。

●24480円→15178円(9302円)●24480円→15860円(8620円)

 この安値は先週の月曜初動に発生した安値であり、チャート上の安値は15860円となっており、この辺の考察をどうするかは非常に難しいですが、洋傑は上記の15178円でカウントしたいと思います。

 上記値幅で仮定した場合、その値戻りは以下の値が意識されやすいと考えます。

①F50.0:19829円

②F61.8:20926円

③F76.2:22266円

 以前までの記事に於いて洋傑は①が最も反転ポイントとして考えていましたが、今週推移に於いて、株価は非常に底堅い推移を示しています。この後いきなりナイアガラ…といった展開も無いとは言い切れませんが、このまま強い抵抗ラインを越えるまでは今週のような展開になる事も考えられます。

 その抵抗ラインを考慮するうえで、やはり15860円安値パターンも考慮する必要があります。故に、15860円安値パターンでも記載しておきます。

①F50.0:20170円

②F61.8:21187円

③F76.2:22428円

 これらの点を考えると、今後の上値抵抗は日経先物に於いては以下のラインで反転が考えられます。

ⓐ抵抗ライン1:19800円~20200円

ⓑ抵抗ライン2:20900円~21200円

Ⓒ抵抗ライン3:22200円~22500円 

 今の状況を考えるとⒸはおろかⓑですら可能性としては難しいように感じますが、まあ、数値は数値です。ひとまずはⓐのラインを越えるかどうかが来週の注目点であると考えます。

 

 上記テクニカル推移とは別に、現状の日経先物チャートを見る分には、今年最安値(15178円ないし15860円)から上方収束しているように見えます。まだ経緯が半端なので、あくまで仮定ですが、個人的には今一度の下落と上昇をして、その後大きく値を下げる展開が推測されます。

 仮に上方収束であるとするならば、その収束最高値の推測値はライン引きから見ると20000円から20500円前後が推測されますので、その点からも抵抗ラインⓐと一部重なります。

 

 まだこの上昇傾向がどういった波動形態であるのか不明瞭である上に、株価は諸指標推移の中でも最も変わりやすい指標である特性から、まだまだ分析が必要です。洋傑は上方修正の仮説を立てていますが、この先の動向はまだ分かりません。故に概況動向推移のまとめには上記推論は織り込みません。

 

 このところの株価推移は非常に難しい動きをしています。その推移を株価単体で判断することは危険です。

 

 

◆通貨インデックス

 通貨指数動向はドル安・円横ばい(上下推移はしたが行って来い)・諸通貨高となっています。円インデックス推移は初動こそ動きが異なっているものの、その後の推移は諸通貨(主に欧州通貨)動向とほぼ一緒の流れです。やはり最近の円インデックスは避難通貨としての機能が以前のように動いていない感があるように感じます。

 むしろ避難通貨はドルが一手に引き受けている感が強く、その流れはより顕著になっているように個人的には考えています。今後も同様の傾向が続くことが想定される一方で、ドルは原油価格の影響も強く受ける関係上、ドル建て通貨ペアであるランド円は非常に複雑な推移をすることが危惧されます。

 

 今後の推移について、ドルとその他に分けて記載します。

 まずドルですが、原油との相関関係を書いたものの、今週に於ける連動性は、実はドルが先行していたりします。ドルに連動して原油が動いている、といった流れであると時間軸を見る限りでは考えます。ですので、原油推移からドルを推測することは難しいと考えます。あくまでここでは直近推移から推測する方法をとります。

●直近のドルインデックス推移

 ①94.612→103.823(9.211)
 ②103.823→98.345(5.478)
  ※値戻り:59.5
 ③98.345→101.030(2.685)
  ※値戻り:49.0
 上記内容から推測するに、直近高値101.030は50.0の近似値である事から、反転下落の節目としては悪くない位置です。加えてその前の値幅との戻りも59.5と、61.8の近似値と言える位置で、ドルは節目ごとの反転をしていることが伺えます。

 そして、今のドル推移は4月6日から下落傾向で大きく二度の急落をしており、現在は下げ渋って再度上昇する気配があります。このまま上昇するとなると下落トレンドに於けるW字が形成されることとなり、その後一気に急落することも推測されます。その観点から考えると、ドルはあと1日~2日(月曜日は祝日なので膠着するとしたらもう1日程度伸びる?)程度の上昇後に一気に急落する相場展開が考えられ、直近では100.000~100.300程度まで上昇して反落、という展開が最も可能性として高いと考えます。よって前半はドル上昇の局面があると考えます。

 

 諸通貨に関してはどうでしょうか。

 まず先進国通貨ですが、これは円とユーロで推移に差があります。前者は短期の下落ライン上限を越えた気配がある一方で、後者はまだ越えていません。この差が次週リスク面で影響を与える可能性があります。

 円に特化して書きますが、直近のインデックス推移は以下の通りとなっております。

●直近の円インデックス推移

 ①0.009886→0.008998(0.000888)
 ②0.008998→0.009379(0.000381)
  ※値戻り:42.9

 となっています。戻り位置は微妙なところであり、まだ暫く上昇することが考えられます。次の目処が50.0となりますので、推定位置としては0.009400~0.009500程度が意識されやいと考えます。

 

 次週推移としては「ドル行って来い・円上昇+高値維持相場(ドル高→ドル安・円高→円高)」と考えます。

 

 

◆債券(日本債・米国債・ドイツ債)利回り

 債券動向はドイツ・米国が上昇頭打ちで週末クローズ、日本債利回りが下落クローズとなっています。週間で見ればややリスクが高まっているような終わり方と言えます。また、米国債・ドイツ債利回りとも下落ラインに於けるW字の最終上昇段階で頭打ちとなっており、今後の推移としては下落することが推測されます。

 通貨インデックスや株価ほど難しい推移ではない為、この推移については一定の信憑性があると考えています。

 

 次週の債券推移としては「債券利回り下落」と考えます。

 

 

◆リスク指標・南アフリカ債利回り

 金価格は今週行って来いとなっています。初動に大きく下げた事を除けば上昇傾向であり、ドルとの相反性を考慮した場合に於ける判断はほぼ横ばいで、潜在リスクは然程変わっていない(依然として高い)と考えます。

 

 原油価格も金同様に行って来いとなっており、週半ばに上昇した後は値戻りした格好です。こちらは政治ニュースによる変動が大きいですが、石油減産がさほど順調に進んでいないようですし、今後の推移はかなり混迷しつつも下がる方向になる可能性が高いと見ています。ただ、原油関連はかなり不意のニュース主導で動いていますので、推測は困難です。

 

 南アフリカ債利回りは3月24日を始点とした下落トレンドライン高値を崩せないまま推移しています。そのまま急落の可能性がある一方でここ2か月程度で急伸した調整下落局面であり、いずれ発生するであろう反発局面の見極め時期でもあるという、非常に難しい局面です。

 南アフリカ債利回りのフィボナッチ・リトレイスメントを推測することは難しい(直近で急激すぎる上昇をしたため、上昇始点が掴めない)ですが、3月24日を始点とする下落局面に於いて発生した大きな下落(3度)に於いて直近下落が下値を更新したので、反発するには十分な位置であると考えます。

 よって判断が分かれる局面ながら、洋傑は反発すると考えます。

◆概況動向から考える、次週の展望について(ランド円除く概況推移展望)

 

 以上の動向から、次週の書く諸指標推移を以下のように考えます。

◆総合判断:リスク上昇も、相場推移は上下する程度?

◆諸指標根拠:

①株価:初動は一時的な下落局面・中盤は上昇・後半は下落の推測。高値は20300円前後か?

②通貨:前半ドル高・円高→後半ドル安・円横ばい推測

③債券:ドイツ・米国は下落W字形成+頭打ちで反落?

④リスク指標:金は高値維持・原油は不安定推移で先行き不明瞭

⑤南ア債:下落継続・反発ともありうる局面ながら、洋傑は反発見込み。

 

 …となります。概況推移を総合的に判断すると「顕在・潜在リスクは上昇するも明確なリスクオフになるかは不明瞭であり、下落or行ってこいの横ばい推移」といった感じです。

 明日アップの週間ランド円展望は、この諸指標概況推移展望を基に、南アフリカ債利回り推移や検証中指標分析法・エリオット波動の観点から総合的に記載します。