◆株価堅調とドル安+諸通貨高。顕在リスクと潜在リスクの乖離が懸念材料
◆株価(日経先物)
株価推移は週を通して上下しながらも上昇傾向を維持しました。先週段階で見込んでいた上方収束の楔形推移は一定完了したと言ってよい位置まで達しています。一方で上昇高値更新は非常に緩やかとなっており、チャート形態及び直近の株価推移を見る分には「典型的なダイアゴナル・トライアングル」を形成していると言えます。
ダイアゴナル・トライアングルは相場トレンド終了のサインであると同時に、今後の推移は波形によって真逆となりますので、ここは慎重に見る必要があるでしょうが、共通事項として「直近では相場ブレイクの反転が起きる」という点です。洋傑の
見立てに間違いがなければ、今後17500円辺りまでは下がる可能性が高いように感じます。
毎週末の概況推移記事で書いている内容ですが、直近株価の高値から安値までの推移は以下の通りです。
●24480円→15178円(9302円)●24480円→15860円(8620円)
この安値は先週の月曜初動に発生した安値であり、チャート上の安値は15860円となっており、この辺の考察をどうするかは非常に難しいですが、洋傑は上記の15178円でカウントしたいと思います。
上記値幅で仮定した場合、その値戻りは以下の値が意識されやすいと考えます。
①F50.0:19829円
②F61.8:20926円
③F76.2:22266円
現状推移が19910円ですから、①のラインは達成できたと言えます。公式な見解下値は15860円ですので、20300円程度までの上昇はあるかもしれませんが、今後は反転する可能性が高いと見ています。
株価の次週推論としては現在位置からの下落トレンド開始、ないし20300円前後での反転であり、週間の推移としては下落優勢であると考えます。
◆通貨インデックス
通貨指数動向はドル行って来いの横ばい・円高・諸通貨行って来いの横ばいとなっています。最近はドルが避難通貨の役割を担っている側面が強く、その傾向から見る分には現在進行形のリスクは週初動から上昇→下落の流れを取っているように見えます。今後の推移についても直近動向から見ればリスク後退の可能性が高いように見えます。
ただ、今後の推移をチャート動向で考えた際には不安要素が強く残ります。
ドルと円に絞って記載します。まずドルは3月20日前後につけた高値104ドルから一旦値を下げていますが、あくまでこれは上昇局面に於ける膠着段階であると考えています。既にチャート形成は三角持ち合いになりつつあり、現状はその形状を崩すことなく推移しています。
既に三角持ち合いはかなり収束が進んでいると考えており、個人的には今一度の下げが小規模に発生したのちに急反発する展開を考えています。そういった意味では当面は下落傾向ですが、その下値は99.000程度で収まると見ています。まだ暫くは99.000~100.000の間で膠着する期間があると思いますが、次週中には相場ブレイクする可能性が高いと見ています。
円は諸通貨と同様の傾向を示すと思います。これが最近のクロス円相場(ドル円除く)持ち直しを大きく妨げる要因となっていると考えています。基本的にはドルと円が相反性を形成しており、従来であればユーロがそうであった役回りを円が中心にになっています。これによりドルが上昇した際は諸通貨と同様に下落するものの、円の方がリスク回避としての要素が強い為にクロス円は下げる展開となり、ドルが下落してリスクが相対的に後退しても、今度は円も同様に上がるため、上昇幅は非常に限定されるという、「上がりにくく、下げやすい」地合いを維持する要因となっています。
そしてこの円インデックスは株価と同様に上方収束の形を形成しつつあり、もし株価同様の推移を取るなら、今後の動きは下がる可能性が高いです。そしてそれは諸通貨の動向にも連動することが考えられますので、相場展開はドル高・諸通貨安のリスク回避が起きる可能性を暗示しているように考えています。
次週推移としては「初動はドル安・諸通貨高/中後半はドル高・諸通貨高」で、クロス円は最終的に下向きであると考えます。
◆債券(日本債・米国債・ドイツ債)利回り
債券動向は最近の推移に於いて米国債利回りと日本債利回りが方向性を考えるうえで参考になる部分が少ない為、最も諸指標推移と連動性が高いドイツ債利回りを基軸に考えていきます。
ドイツ債利回りは先週の概況推移展望に於いて書いた通り下落傾向で週間推移しました。既に下落W字は形成隅であり、これにそった流れでドイツ債利回りが動いた格好です。このまま次週も動く可能性がある一方で、週末にかけては殆ど動かずにクローズした経緯もあり、週明け以後の動向に不確定要素をまく結果になっています。
チャート形成についても下落W字形成から三角持ち合いに切り替わった気配もあり、今後については一旦上昇する可能性が高いように感じています。これは週末推移も含めての見解です。
ただ、その後の推移については下がると見ていますが、次週でそこまでの段階に至るかは不明瞭です。
次週の債券推移としては「債券利回り上昇→下落ないし反転」と考えます。
◆リスク指標・南アフリカ債利回り
金価格は明らかに下落傾向を示しました。相反指標であるドルが横ばいの中での下落ですので、相対的に潜在リスクは後退傾向であると考えます。
原油価格についてはさらに下落幅を増しており、原油安が止まりません。この辺は株価推移にも悪影響を及ぼしかねず、金とは対照的に不安要素です。
南アフリカ債利回りは先週殆ど動意がない推移となりました。…というよりは今までの動きが急激すぎたので、その傾向は普通な範囲かもしれません。
傾向としては3月24日高値をピークに下落収束の形をとっていましたが、いよいよ下げ渋り→反発の気配が出てきています。この辺は今までの経緯から見ても高い確率であると考えており、その点から考えるとランドにとって上値の重い展開が推測されます。
◆概況動向から考える、次週の展望について(ランド円除く概況推移展望)
以上の動向から、次週の書く諸指標推移を以下のように考えます。
◆総合判断:相場後退・下落局面に移行?
◆諸指標根拠:
①株価:現在位置~20300円前後を高値に反転下落可能性高
②通貨:前半推移はドル安・諸通貨高の気配あるが、後半以降はそれ以上のドル高・諸通貨安
③債券:利回りは上昇→下落?
④リスク指標:金下落も、原油下落で不安要素強いか
⑤南ア債:下げ渋り。反発する可能性高
…となります。概況推移を総合的に判断すると「初動こそリスク後退局面がある可能性がありつつも、中後半以降は下落優勢」といった感じです。
明日アップの週間ランド円展望は、この諸指標概況推移展望を基に、南アフリカ債利回り推移や検証中指標分析法・エリオット波動の観点から総合的に記載します。