洋傑のつぶやき(概況推移考察・それに基づく次週の概況推移展望)

◆株価軟調とドル高+円安。リスクは好悪混ざった内容ながらも改善傾向?

 

 

◆ランド円全体推移

 今週一週間はランド円下落一色となりました。初動に於いて格下げによる下窓スタートから反発して5.96円から6.10円まで回復したものの、窓を殆ど埋めるなり急落へとかじを切り、そのままずるずると値を下げて5.96円を割り、その後は洋傑が節目上限としていた5.84円を割り、更に終盤には最後の節目5.74円すら割り込みました。

 5.84円も5.74円も共通してのことですが、やはり直前での急反発はありました。その辺はこの数値が相当意識されていることの証左でしょうが、米雇用統計の異常な悪さでは食い止められた下落も、フィッチの格下げによって打ち破られて、結局は節目限界を越えて5.67円まで下げる事態となっています。

 

 週を通して比較的エリオット波動に基づく基本方針の中、概況推移を織り込みながら推移した部分はある種順調と言える推移でしたが、予想以上のネガティブ材料によって節目で狂わされた印象を受けます。

 

◆株価(日経先物・ダウ先物)

 株価推移は日経は週を通して下落傾向、ダウはアップダウンしながら下落傾向といった感じです。いずれも最終的には下落クローズとなっていますが、日経の方がより弱い動きの印象を受けます。やはりこの辺はコロナ対策の違いや経済施策の打ち出し内容によって数値が変わっているように感じます。実際問題として経済的打撃が大きいのは間違いなくアメリカですので、その点から考えれば日本株の方がまだ強くないとおかしいのですが、株価推移はその対策内容に目が向いているような推移です。

 

 話を日経に絞りますが、結局高値は19480円(これも先週につけた高値)で反落しています。やはり節目である19800円は意識されている感はありますが、上昇しきらずに下落したあたりから、再度の調整をかけて上昇する気配を感じます。まあこの辺は動向を見ての「勘」みたいなものですので、信ぴょう性も何もありません(笑)。

 

 次週の推移は上記内容を考慮して考える必要もありそうですが、まずは今までの推移を受けて次週がどう動きそうかを考えた場合、やはり多少なりとも下げる局面が出てきそうです。米国時間に発表された米マーケットPMIやISM非製造業指数、サービス業PMIなどは予想よりは良い結果となったものの、やはり数値としては低い水準であった上に、ニューヨークの封鎖などは後半であった点を考えるとポジティブに捉えられる部分は少ないように感じます。

 そして何より米雇用統計の結果の悪さです。非農業部門雇用者増減は▲700千人と、洋傑が見る限りこれほど悪かったのは見たことがなく、失業率は4.4%と、これを悪材料と言わずして何かといえる結果です。

 

 比較的日経先物推移は緩慢でしたが、米国株は発表後前後は別として、米国市場開場後は急落という形で現れています。この推移が週明けの窓展開や東京市場に影響を与える可能性は非常に高いと考えます。よって初動は下落すると洋傑は考えています。

 問題はこの後の展開は随時動向次第でしょう(それが現時点で推測できるほどの観察眼がありません)が、直近最安値である

15178円を下回る展開にはならないとみています。これは上記高値目処である19800円に達していない点からの推測であり、また米雇用統計の初動に於ける反発などの動きから、一定の織り込みもされているという仮定推測から、直近最安値15860円(週明け初動で15178円がマークされていますが、ノーカウント扱いになっています)と直近最高値19480円のフィボナッチ・リトレイスメントから考えるのが良いかもしれません。

●15860円→19480円(3620円)

 F50.0:17670円

 F61.8:17243円

 F76.2:16722円

 F78.6:16635円

 以上の点では反発して、再度19800円(厳密には19829円)を(ないしそれ以上)目指す展開になると考えます。その高値目処は現時点では分かりませんが、一つの仮定として19800円を反転ポイントとすると、直近の上昇幅3620円から差し引くと割り出せます。即ち、

 19829-3620=16209円

 となり、上記反発点に加え、この16209円が意識されると思われます。また、上記ラインがすべて下抜けした場合には最安値更新の可能性が非常に高まり危険であると言えます。

 

 以上の点から、次週の株価推移は初動下落基調ながらも最大16200円まで下落後、上昇相場に転じると考えます。

 

 

◆通貨インデックス

 通貨指数動向は先週動向の反動(毎週これが繰り返されているような…)で一挙ドル高・円安となりました。洋傑はドル高・円高を推測していましたが、結果としてドル推移だけ当たった格好になっています。概況が結果としてリスク回避に動く中での円安は、2月のコロナ騒動初動に於ける株安・円安動向に酷似する流れです。

 ただ、その時に比べると、円安はもちろんですが諸通貨安が非常に顕著です。先進国通貨ではユーロ・フラン、資源国では加ドル・豪ドル・NZドル、新興国は…と、ドルを除きほぼ全面安となっています。世界基軸通貨以外が売り一色な点は非常に危険を感じる動向と言えます。

 

 チャート推移は欧州通貨にてダブルトップ途中、資源国通貨や新興国は急落からの一旦の反発、といった流れに見えており、まだ下げが続く可能性が通貨動向からは見えます。ドルが上昇しているのもリスク回避から、といったことであれば、少なくとも次週中盤まではこの傾向(ドル高・諸通貨安)が続く可能性が高いように感じます。

 円も下げ基調でしょうが、諸通貨安がそれ以上の流れですので、この傾向が続くとさらにクロス円は下げることが考えられます。

 

 一方で上記欧州通貨で見られるダブルトップが反発すれば、週半ば(火曜日~木曜日)辺りで一旦の反発は期待できそうです。欧州通貨の上昇はある程度期待できる反面、その他の資源国・新興国通貨への資金流入があるかはかなり未知数です。

 

 次週推移としては初動は今週同様の諸通貨安・ドル高で、中盤以降は一定の値戻りがあると推測します。

 

 

◆債券(日本債・米国債・ドイツ債)利回り

 債券動向は日本債と米国債は共通して利回りが下落基調で動いておりますが、米国債利回りが後半下げ渋った反面、日本債利回りは後半も下落傾向が続いています。これはドルと円の推移にもある程度通じるものがあると考えています。やはり都市封鎖や非常事態宣言に踏み切った米国と、決断しない日本との対応の差が債券推移にも出ているような気がしています。

 

 一方でドイツ債利回りは上昇傾向となりました。これは米国・日本と明らかに異なる点です。これはあくまで推測ですが、コロナウイルスの拡大が早かったのが欧州→米国→日本の順番であり、このドイツ債利回りの上昇は拡大がピークを過ぎた事を表す一種のサインであると考えています。事実、今日はイタリアでピークを過ぎた報道も流れました。

 加えて、上述した債券利回りの推移に於いても直近最安値をマークした3月9日から各国とも一時急上昇しましたが、その後再び下落して底打ちしたタイミングがドイツ債利回りで3月30日、米国が4月2日、日本は3月29日が最も低いものの、まだ下値を広げそうな気配である点から見ても分かるような気がします。

 

 基本はこのドイツ債利回り推移を参考に見ればよいと考えています。即ちドイツは引き続き上昇傾向、米国は徐々に上向き、日本はまだ底打ちすらしていないといった傾向と推測します。

 

 警戒点もあります。ドイツ・米国とも短期の下落トレンドに於けるW字を形成し始めている点です。今しばらくは上昇ないし横ばいになると思いますが、一定上昇したタイミングで急落、といった流れがあり得ます。もし仮にそうなった場合、米国やドイツ債利回りは上昇後急落となるでしょうが、日本債利回りは全く上昇しない中で更に下値を広げることにもなりかねない危険な状況と言えます。

 それも週中盤から後半にある「かもしれない」程度のものであり、現時点では不明瞭です。

 

 次週の債券推移としては、上昇傾向、後半には急落リスク内包の危険推移を推します。

 

 

◆リスク指標・南アフリカ債利回り

 金価格は週間を通しての行ってこい相場となりました。これはドルとの推移と合わせて考えた場合、ドル以上のリスク上昇を伺わせる推移と考えます。依然として潜在リスクは上昇を続けており、顕在リスクとは異なった推移を示していると推測しています。この影響が出るのはもう少し後かもしれませんが、仮に概況が上向きになったとしてもそれは「一時的な」動きに過ぎない事を暗に示しています。

 

 原油価格は底打ち→上昇といった流れになったのではないでしょうか。これは概況に於ける上向き材料となりえる重要な傾向であると捉えています。元々株安になった原因の一つであるロシアとサウジアラビアの石油減産反対が一旦減産に合意したとの報道によって、中短期のスパンで見れば、原油高が維持されている限り株価に跳ね返ってくると個人的には考えます。

 

 南アフリカ債利回りは短期の下落W字を描いてクローズしています。洋傑はここから反転下落するとみていたので、この推移はやや誤算です。加えてフィッチが格下げしましたので、週初動は上昇スタートが考えられます。

 但し、先週のムーディーズ格下げによる利回り上昇ほどの規模にはならないとみています。これは大手機関からの資産引き上げはすでに完了している(…と思いますが)点からの推論ですが、初動に関してはランド円への影響はさほどないと考えています。大事なのは先週同様に、初動以後の推移です。

 南アフリカ債利回りは既に下落トレンドに於けるW字は形成していますが、高値にはまだ余地があります。暫くは高値攻防が続く可能性が高く、反落には時間がかかる(月曜では終息しない)とみています。ですが、これほど綺麗に下落トレンド内に於けるW字が形成されている点は大きく、反落する可能性が高いと考えます。

◆概況動向から考える、次週の展望について(ランド円除く概況推移展望)

 

 以上の動向から、次週の書く諸指標推移を以下のように考えます。

◆総合判断:概況は前半下押し・後半持ち直し

◆諸指標根拠:

①株価:初動~中盤は下値試しが行われる可能性高。後半は再度19800円を目指す推移になる可能性高

②通貨:ドル高は一定継続される可能性高も、欧州通貨は週後半に買戻し気配。資源新興国は弱気推移か。円不明瞭。

③債券:ドイツ・米国は上向き気配も日本は下落傾向。株価への影響度は未知数

④リスク指標:金は上昇傾向で潜在リスク上昇ながらも原油高が続けば概況押上げ期待も

⑤南ア債:初動~中盤までは上昇攻防も、中盤以降は下落の可能性あり

 

 …となります。概況推移を総合的に判断すると「相場下押しの可能性が高いが、今一度の上昇はある」といった感じです。

 明日アップの週間ランド円展望は、この諸指標概況推移展望を基に、南アフリカ債利回り推移や検証中指標分析法・エリオット波動の観点から総合的に記載します。