洋傑のつぶやき(概況推移考察・それに基づく次週の概況推移展望)

◆株価と債券の行って来い・ドル安ユーロ高・5月相場前の変動か

 

◆株価(日経先物)

 株価推移は週を通しての行って来いとなりました。初動から中盤までは上昇顕著で進み、一時は20500円まで到達しましたが、5月に入るなり一気に下落と、ペースは株高じりじり、株安急ピッチといったペースで進みました。

 一週間での値動きは19220円~20507円と、値動き幅は1300円相当に及び、久しぶりに大きな相場変動となったように感じます。…まあ少し前まで一日で1000円動く事が日常であった事を考えると、そんなに慌てるほどのこともないような(錯乱)気がするような…

 

 ともあれ、中短期的スパンで見れば大きな節目を迎えたと言える一週間でした。3月17日から始まった上昇相場(上値収束型/ダイアゴナル・トライアングル)はその3度目にあたる高値更新を先日迎え、そのライン上限(当時)であった20500円前後をピークに反転して下落しています。まだ上昇ラインでの引き方によっては相場ブレイクしたかは微妙なところですが、上述のダイアゴナル・トライアングルのラインブレイクは達成した可能性が高いと考えています。

 

 一応、ここまでのダイアゴナル・トライアングル収束の動きをまとめると以下の通りです。

ⓐ15178円→19450円(4272円)

ⓑ19450円→17520円(1930円)

Ⓒ17520円→19860円(2340円)

ⓓ19860円→18830円(1030円)

ⓔ18830円→20507円(1677円)

●安値-高値:15178円→20507円(5329円)

●昨年最高値-今年最安値:24480円→15178円(9302円)

 

 直近の下落幅に対しての、今回のフィボナッチ・リトレイスメントは57.3となっており、数値的なキレはあまり良くない位置ですが、上方収束のトライアングルは綺麗に完成しています。

 

 ダイアゴナル・トライアングルと書いていますが、エリオット波動に於いては「リーディング」「エンディング」の2パターンがあり、その区分け次第で方向は全く異なってきます。前者であれば、一旦の下落の後に上昇傾向へ、後者なさらに下落へ、と流れが真逆になりますので、ここは慎重に分析をする必要があります。厳密に波動カウントすればわかるらしいのですが、洋傑はまだどちらかの判断はできていません。

 

 ひとまず、今後の推移として共通しているのは、今後一旦下げるという事であり、その下げ幅も直近上昇幅のフィボナッチ50.0以上にはなると思われます。よって

●直近上昇幅:5329円

ⓐF50.0:17843円

ⓑF61.8:17214円

ⒸF76.2:16447円

 辺りが意識されやすいでしょう。今のところは17800円に向かって下落する推移と考えていますので、そこまでは相場の下落が続く・強まると考えます。仮に上昇しても20000円を越えるまでには至らないと見ています。

 

 株価の次週推論としては下落優勢と考えます。

 

 

◆通貨インデックス

 通貨指数動向はドル安・ユーロ高・円高・諸通貨横ばいといった流れであり、週を通せば資金動向はほぼ横ばい…というよりは行って来いというべきでしょうか。リスクも週初めは高く、中盤は大幅に後退、後半は再度急上昇といった感じでしたので、その流れに沿った推移ともいうべき動きとなっています。

 

 大きな動きとしては、ドルとユーロの変動はあるものの、基本的には先進国通貨に資金が集まりつつあり、一時的に高まった資源国・新興国通貨からは資金が流れつつあります。諸通貨と円の推移乖離からも同様の傾向を伺えますので、洋傑としてはこのような考えを持っています。

 そして、週末クローズ後の推移に於いてユーロが急騰しています。ドル円にはこの動きが現れてはいませんが、この傾向が週明けまで維持された場合、オープン後の推移に於いてドルインデックスは大幅な下落になる可能性があります。

 

 そのドルインデックスですが、ここ最近で付けた安値98.345を割り込むかどうかも重要であると考えます。今のドルインデックスは103.960を高値とした下落局面であると考えています。此処までの推移を書くと下記の通りとなります。

①103.960→98.345(3月23日-3月27日)

②98.345→101.030(3月27日-4月6日)

③101.030→98.820(4月6日-4月15日)

④98.820→100.975(4月15日-4月24日)

⑤100.975→98.765(4月24日-進行中)

 そして、上述のユーロ急騰がここで発生していることを加味すると、今後の推移としては直近最安値である98.345を割る展開になると思われますので、ドルの推移は直近としては下落、以後の推移は動向次第と、非常に見えづらいものになります。ただ、この下落展開は、想定より大きくなるかもしれず、当面は下落で見るべきかもしれません。

 

 ドルは下落する可能性が高いですが、その他の先進国通貨はどうでしょうか。まずユーロは上述の話もありますので、ひとまずは上昇傾向となる可能性が高いです。

 

 円インデックスは株価推移と今まで一定の連動性を維持していましたが、ここにきて相反性を出している気配があります。特に今回の株価下落(4月30日終盤~)には円高で反応している気配が強いです。ここは資源国・新興国通貨インデックスとは大きく異なる推移です。

 加えて、株価が1日は終日下落傾向でしたので検証しやすかったですが、特に日本通貨である特性上、株価が下がれば東京時間に大きく上昇する可能性が高まります。この辺は押さえておくと良いかもしれません。

 

 資源国・新興国通貨は株価準拠といった推移です。現在の日経先物推移から考えると、一時的な上昇はあっても、週間としては下値が強まる可能性が高いと推測します。

 

 次週推移としては「ドル安・ユーロ高・円高・諸通貨安」で、クロス円は下落優勢であると考えます。

 

 

◆債券(日本債・米国債・ドイツ債)利回り

 債券動向はドイツ債以外が不明瞭推移です。この辺は各国の量的緩和が影響しているのかもしれません。最近の債券利回り推移は諸指標に与える影響が変容・限定的になってきており、見すぎは禁物な指標に変わりつつあるように感じています。

 その中で一定の信憑性を担保できるのはドイツ債利回りのみとなっており、そのドイツ債利回り推移のみが、顕著な下落トレンドを形成しています。恐らくはまだ当面下落相場が続くと判断できる内容であると考えます。

 

 次週の債券推移としては「債券利回り下落」と考えます。

 

 

◆リスク指標・南アフリカ債利回り

 金価格はやや下落を示しました。相反指標のドルが行って来いなので、それを加味すると殆ど変化はないように感じます。今後の推移についてもあまり影響はないかもしれません。

 原油価格はじり高の一週間となりましたが、依然として予断を許さない状況に変わりはありません。まだ経済活動は止まった部分が多く、今しばらくは原油も不安要素として残りますが、当面は心配ないと見ています。

 

 南アフリカ債利回りは昨日展望記事に書いた通りとなり、今後は上昇が見込める段階に入ると見ています。ランド円にとっては下げ要素として機能しやすい反面、動きは急激かつ不安定ですので、日々の動きはかなりのアップダウンが伴うと考えます。

◆概況動向から考える、次週の展望について(ランド円除く概況推移展望)

 

 以上の動向から、次週の書く諸指標推移を以下のように考えます。

◆総合判断:相場後退・下落局面に移行?

◆諸指標根拠:

①株価:基本的に下落傾向強いか。一時的な上昇はあっても20000円までと推測

②通貨:週を通してドル安・ユーロ高が支配的?円は上昇・諸通貨は下げ基調優勢と推測

③債券:利回りは下落優勢推測

④リスク指標:動向に大きな変化なく、暫くは相場に与える影響は限定的と推測

⑤南ア債:利回り上昇の可能性高いも、アップダウン大きく不安定推移

 

 …となります。概況推移を総合的に判断すると「基本的には下げ相場・時間帯で方向性は変わりやすい」といった感じです。

 明日アップの週間ランド円展望は、この諸指標概況推移展望を基に、南アフリカ債利回り推移や検証中指標分析法・エリオット波動の観点から総合的に記載します。